外から拝見したのですが、お宅の屋根が壊れていますよ」このような訪問営業を受けた方も多いのではないでしょうか。

訪問営業の多くはデメリットが多く、悪質なトラブルも耐えない現状があるため、消費者である皆様は注意しなければなりません。

そこで本記事では、屋根が壊れていると言われた場合にどうしたらいいのか?突然の訪問者に騙されないための対処法について解説します。

屋根が壊れていると言ってくる訪問営業に注意すべき理由

屋根が壊れていると言ってくる訪問営業に注意すべき理由

屋根が壊れていると言ってくる訪問営業には、注意すべき点がいくつか存在します。

なぜ色々な営業手法があるなかで、訪問営業に関しては注意が必要なのか?その理由について紹介します。

相次ぐ点検商法によるトラブルは年々増加傾向に!

独立行政法人国民生活センターによると、屋根工事における点検商法のトラブルは年々増加傾向にあるとされています。

画像引用:(独)国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-」

屋根工事の点検商法に関する相談件数は、2018年度では923件だったものの、2022年度では2,885件と5年間で約3倍もの増加をたどっています。

このような数字データから分かるとおり、屋根工事における訪問販売トラブルは後を絶たない状況にあるため、消費者側は注意が必要ということです。

高齢者の方は要注意!契約者の8割以上が60歳以上という現実

また、契約当事者の8割超が60歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。悪質な業者は巧妙なトークで消費者に近づき、本来消費者が望んでいない高額の屋根工事を契約させています。

(独)国民生活センター「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-」

悪質な訪問販売営業というのは、高齢者の方をターゲットにしている傾向があります。

国民生活センターによると、被害に遭った方の実に8割以上が60歳以上としており、高齢者の方は特に注意が必要と喚起しています。

昨今はインターネットの普及によって消費者側も調べられる時代である一方、高齢者の方をターゲットにした悪質な訪問販売営業は依然あるのが現状です。

そのため、高齢者の方は特に注意するなど、訪問販売のトラブルに巻き込まれないための対策が必要ということです。

相談事例から学ぶ!屋根が壊れていると言われる点検商法の勧誘トーク例

相談事例から学ぶ!屋根が壊れていると言われる点検商法の勧誘トーク例

国民生活センターには、屋根工事の点検商法でトラブルに巻き込まれた際の相談事例をいくつか公開しています。

そこでここからは、国民生活センターに寄せられた相談事例を元に、悪質な点検商法の勧誘トーク事例をいくつか紹介します。

「親切」を装う勧誘トークの例

屋根工事の点検商法では、「親切」を装った勧誘トークとして以下のような事例があります。

  • 「近所の工事のご挨拶に来ました」
  • 「屋根が浮いているみたいですね。無料で点検してあげます」

このように、悪質な点検商法では近隣挨拶のシチュエーションや、屋根の浮きを指摘してくるようなケースがあります。

あくまで業者サイドは、親切心で行っているような雰囲気で接触してくるので注意しましょう。

関連:屋根の板金が浮いていると言われた時の対処法をプロが徹底解説!

「不安」を煽る勧誘トークの例

屋根工事の点検商法では、「不安」を煽る勧誘トークとして以下のような事例があります。

  • 「このままだと台風が来たら雨漏りしますよ」
  • 「瓦が飛んで近所の人にも迷惑が……」

親切心で行うような勧誘トークとは違い、このように不安を煽ってセールスを掛けてくる場合があります。

消費者心理としては「それなら早く修理しないと」と感じるかもしれませんが、後述する対処法を参考に行動することが重要です。

「お得感」を演出する勧誘トークの例

屋根工事の点検商法では、「お得感」を演出する勧誘トークとして以下のような事例があります。

  • 「この場で契約するなら特別に安くしますよ」
  • 「保険金を使って修理することもできますよ」

親切心や不安を煽るセールストークではなく、お得感を演出して営業をしてくる業者も存在します。

上記のようなセールスを受けた場合、すぐに契約をするのではなく、本当にその価格が妥当なのかを見極める必要があります。

また、昨今多いのは保険金を利用するから安くなるといったセールス手法です。

これは主に火災保険のことを利用するというケースが大半ですが、火災保険は本来自然災害で受けた損害を補償するために保険です。

経年的な劣化による屋根修理はもちろん対象外なので、契約後に保険金が下りずに実費で対応をしなければならなくなる可能性が大きいです。

屋根工事は非常に高額な工事なので、このようなセールストークを受けたら注意が必要です。

関連:屋根修理で火災保険を利用するポイント!条件から申請手順まで

関連:火災保険を屋根修理の基礎知識!経年劣化についての完全ガイド!

屋根が壊れていると言われたらどうする?消費者が取るべき正しい対処法

屋根が壊れていると言われたらどうする?消費者が取るべき正しい対処法

見知らぬ訪問者から屋根が壊れていると言われたら、以下のような対処法をとりましょう。

  1. 安易に点検をさせない
  2. すぐに契約をしない
  3. 相見積もりを行う

ここからは、上記の対処法について詳しく解説します。

①安易に点検をさせない

点検商法の被害に遭わないためにもっとも重要な対処法は、安易に点検をさせないということです。

昨今のセールス方法は巧妙になってきており、一度点検をさせてしまうと結果的に契約をしていることも多いです。

また、悪質な事例では、点検した際に屋根を破損させ、それを写真に撮って施主に見せるといったことをする業者も存在します。

このような業者から大切な家の資産を守るためには、安易に点検させないことが最も効果的な対処法といえます。

②すぐに契約をしない

点検商法ですでに屋根の点検をさせてしまった場合でも、すぐに契約をしないことが大切です。

提示された内容をきちんと精査し、検討した上で契約することがトラブルに巻き込まれないためには重要です。

点検商法のなかには法外な値段を提示してくる業者もいるので、内容はきちんと確認しましょう。

また、既に契約をしてしまったケースについても、クーリングオフ制度が適用される可能性もあるので、専門家に相談してみましょう。

③相見積もりを行う

医療の分野ではセカンドオピニオンといった「第2の意見」を求める方法が広まっています。

これと同様に建設業においても、業者単独の意見を鵜呑みにするのではなく、さまざまな意見を取り入れて決めていくことが重要です。

そこで効果的な方法が「相見積もり」です。

複数の業者から見積もりを取得することで、価格や提案の内容、業者の人柄、会社の姿勢など、複数の内容を比較することができます。

少し手間に感じるかもしれませんが、屋根工事は10年スパンで行うリフォームです。

わずか数週間の手間で大切な資産を無駄にする可能性もありますから、そこは手間を惜しまずきちんと相見積もりで正確な内容を知ってから検討を進めましょう。

屋根の点検商法トラブルに巻き込まれないために重要な業者選定のポイント

屋根の点検商法トラブルに巻き込まれないために重要な業者選定のポイント

屋根の点検商法に巻き込まれないためには、業者の選び方が非常に重要です。

本当にその業者は信頼できるのか?きちんと消費者側にも判断する知識が必要ということです。

そこでここからは、悪質な業者に依頼しないために重要な業者選定のポイントについて紹介します。

関連:良心的な屋根修理業者の探し方とは?トラブル事例から学ぶ正しい選び方

建設業許可を取得しているか?

まず、業者選定をする上で最初に確認すべき点は、建設業許可を取得しているかどうかです。

建設業許可とは、屋根修理業者を含む建設業を営む際に取得しなければならない許可のことを言います。

この建設業許可を取得するためには、以下のような要件を満たさなければなりません。

  • 一定期間の経営業務経験
  • 条件を満たした専任技術者
  • 誠実性
  • 一定の資金力

このような要件を行政側が細かくチェックし、問題のない業者に限って各都道府県知事または国土交通省大臣によって許可されます。

要するに建設業許可のある業者とない業者では、信頼性に大きく差があるということです。

少しでも悪質な業者に騙されてしまう確率を下げるためにも、必ず建設業許可の有無はチェックしてください。

国家資格を有しているか?

建設業許可を取得する際には、専任技術者の要件で一定の期間の実務経験や国家資格の有無もチェックされています。

そのため、基本的に建設業許可を持っているということは、技術者がきちんと配置されていることを意味しています。

ただし、国家資格にも建築士、施工管理技士、技能士といったさまざまな種類があります。

そのため、どのような国家資格を有しているのかもチェックしておくことが重要と言えるでしょう。

中には民間が発行しているような信頼性の低い資格を提示している場合もあるので、きちんと国家資格を有しているかどうかをチェックしてください。

保険には加入しているか?

屋根の工事業者を選定する際には、保険に加入しているかどうかをチェックしてください。

保険には以下のような種類があります。

  • 損害賠償保険
  • リフォーム瑕疵保険

例えば、損害賠償保険の場合、足場が倒壊して近隣周辺に駐車していた車を破損させたといったケースに補償されます。

また、リフォーム瑕疵保険は、有料ですが後日工事内容に欠陥が見つかった場合、その修理費用や補修費用を保険で引き受けてくれます。仮に施工会社が倒産しても利用できるので、非常に信頼性の高い保険です。

これらの保険というのは、まともな屋根工事店であれば必ず加入している保険です。

むしろ最低限これらの保険に入っていないのなら、その会社は信頼に値しないともいえるので、保険の加入状況はチェックしましょう。

まとめ

今回の記事では、屋根が壊れていると言われた場合の対処法について詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • 相次ぐ点検商法によるトラブルは年々増加傾向にある
  • 高齢者の方は要注意!契約者の8割以上が60歳以上という現実も
  • 「親切」「不安」「お得感」を演出する勧誘トークがある
  • 安易に点検をさせないことが大切
  • すぐに契約をしてはいけない
  • 契約をするなら相見積もりを必ず行う
  • 建設業許可を取得しているかチェックする
  • 国家資格を有しているかチェックする
  • 保険の加入状況も確認する

屋根工事の点検商法はトラブルが非常に多いので、正しい対処法を参考に良心的な業者を探して依頼しましょう。