雨漏りが起きているということは、家のどこかしらに欠陥があるということを意味しています。

しかし、雨漏りの原因特定というのは知識や技術が必要になるので、プロでも難しい作業の一つです。

そこで本記事では、雨漏りの基礎知識として「雨漏りが発生しやすい原因・部位とは何なのか?」を解説します。

雨漏りの原因特定が重要な理由を知ろう!

雨漏りの原因特定が重要な理由を知ろう!

雨漏りを修理する際にもっとも重要なことは、どこから雨水が浸入しているのか原因を特定することです。

  • 必要のない無駄な修理を避ける
  • 再発を防いで建物を守る

ここからは、なぜ雨漏りの原因特定が重要なのか?その理由を解説します。

必要のない無駄な修理を避ける

雨漏りの原因特定が重要な理由は、必要のない無駄な修理を避けるということにあります。

原因が特定されていないにもかかわらず憶測で修理をした場合、本来修理すべきポイントとは違う場所を直してしまう可能性があります。

雨水の浸入経路を修理できていない場合、雨漏りが止まることはありません。

要するに雨漏りの原因特定というのは、適切な修理を選択する上でもっとも重要な工程になるということです。

再発を防いで建物を守る

雨漏りが起きているということは、すでに建物のどこかに欠陥があるということを指します。

そのため、雨漏りを放置しておくと躯体や下地が腐食して、想像を超える範囲の修理が必要になってしまうケースもあります。

これらを防ぐためにも、雨漏りというのは修理する以上、再発するのを完全に防がなければなりません。

再発を防いで建物を守るためには、明確な雨水の浸入経路を特定して修理する必要があるということです。

雨漏りで多い原因・部位【外壁編】

雨漏りで多い原因・部位【外壁編】

雨漏りの原因として多い部位の一つ目は、「外壁」になります。

木造住宅の外壁下地には透湿防水シートが施工されているので、本来は雨漏りは起きない構造になっています。

しかし、透湿防水シートの施工が不十分なケースや、以下で解説する原因により雨漏りにつながることもあります。

では、ここからは外壁のなかでも雨水の浸入経路としてもっとも多い部位と原因を紹介します。

窓周り

外壁で発生する雨漏りのなかで多い部位は、「窓周り」になります。

主な雨漏りの原因としては、「コーキング材の劣化」と「下地防水シートの破断」などが挙げられます。

窓周りには雨水の侵入を防ぐためにゴムパッキンのような「コーキング」が打たれていますが、寿命を迎えるとひび割れや破断、亀裂などを起こすため雨漏りにつながります。

対処法

既存の劣化したコーキングを全て撤去した後、新しくコーキングを打ち替えるコーキング工事を実施する。※コーキング材は一般的に「変成シリコン」使用する

外壁のひび割れ

次に外壁の雨漏り発生で多い部位は、「外壁のひび割れ」になります。

モルタル外壁の場合、0.3mmを超えるひび割れが発生していると亀裂部分から雨水が浸入して雨漏りにつながる可能性があります。

なお、窯業系サイディングの場合、一度ひび割れが発生すると大きく開いてしまうことがあるので注意が必要です。

対処法

モルタル外壁の場合:
簡易的な補修方法はコーキングで埋める方法。またはひび割れ部分をモルタル層まで削ってコーキングを打設した後、モルタル補修を行うVカット補修などを実施する方法もある。

サイディング外壁の場合:
簡易的な補修方法はコーキングで埋める方法。ひび割れ範囲が広い場合については、サイディングを交換するケースもある。

外壁の伸縮目地

外壁のなかでも「伸縮目地」が原因で雨漏りが発生するケースがあります。

外壁における伸縮目地とは、サイディングやALCパネルの継ぎ目部分に施されているコーキングの部分を指します。

先ほどの窓と同様にコーキングは経年劣化で破断を起こすため、亀裂部分から雨水が浸入して雨漏りを起こします。

対処法

既存のコーキングを全て撤去した後、新しくコーキングを打ち替える。※ALCパネルの場合、十分な厚みを確保できる場合に限り、既存のコーキングの上に増し打ちする場合もある。

エアコン・通気口

外壁の雨漏りで多い侵入経路として、エアコンなどの通気口が挙げられます。

外壁に取り付けられている開口部分はカバー廻りをコーキングで防水しているので、経年劣化でコーキングが破断すると雨漏りする可能性があります。

また、エアコンのホース取り込み口は専用の粘土で塞いでいますが、年数が経過すると硬化して剥がれてしまうことも多いです。

また、後付けでエアコンを取り付けている場合、新しく開口した場所が低すぎるが故に雨漏りしたケースも存在します。

対処法

コーキングの劣化が原因の場合:
既存のコーキングを全て撤去した後、新しくコーキングを打ち替える。

エアコンの開口位置が悪い場合:
外壁の開口位置が悪い場合は、位置を変更するケースがある。

雨漏りで多い原因・部位【屋根編】

雨漏りで多い原因・部位【屋根編】

雨漏りの発生原因として多い箇所の二つ目は、「屋根」になります。

屋根は構造的に躯体下地の上に防水シートが施されているので、基本的に雨漏りすることはありません。

しかし、現状で雨漏りが発生しているなら、防水シート(ルーフィング)に不具合があることを意味しています。

そのため、場合によっては葺き替えやカバールーフなどの大がかりな修繕が必要になることもあるということは念頭に置いておきましょう。

天窓(トップライト)

屋根に天窓(トップライト)を取り付けている場合、雨漏りが発生しやすい傾向にあります。

主な原因としては、天窓の廻りのコーキング材が劣化したことによる雨漏り、もしくは下地防水シートの施工不良が挙げられます。

特に後付けでトップライトを取り付けた場合、水仕舞いの施工不良が原因で雨漏りするケースが多い傾向にあります。

対処法

コーキングの劣化が原因の場合:
既存のコーキングを全て撤去した後、新しくコーキングを打ち替える。

防水シート・天窓自体の不具合が原因の場合:
天窓が必要ない場合については撤去して塞いでしまう方法があります。一方で、天窓は必要だけれども枠などの劣化も激しい場合は、天窓自体を交換する方法もあります。

棟板金・谷板金・雨押え

屋根のなかでも板金部分(棟板金・谷板金・雨押え板金)に起因する雨漏りは非常に多いです。

主な原因としては、板金の腐食や下地木部が腐食したことによって釘穴から下地まで雨漏りするケースが多い傾向にあります。

また、外壁との取り合い部分のコーキングが劣化することで雨漏りにつながるケースもあります。

対処法

コーキングの劣化が原因の場合:
既存のコーキングを全て撤去した後、新しくコーキングを打ち替える。

板金部分や下地木部の腐食が原因の場合:
棟板金や雨押え板金の場合は、下地木部から板金まで交換する。谷板金については、防水シートの再施工から板金交換まで実施する。

屋根材

雨漏りの発生原因として、屋根材自体の劣化が挙げられます。

たとえば、屋根材が強風で飛ばされてしまい下地がむき出しになっている場合や、屋根材が破損(ひび割れや欠損)して雨漏りにつながるケースもあります。

その他にも、屋根塗装を行った際に屋根材の隙間に塗料が埋まってしまうことで、雨水が正常に排水されなくなり雨漏りにつながってしまう場合もあります。

対処法

屋根材の破損が原因の場合:
屋根材を交換する。範囲が広い、または部分交換が難しい場合は葺き替え、カバールーフなどの屋根工事を実施する。

屋根塗装が原因の場合:
屋根材の隙間に埋まった塗料を全て除去する「縁切り」を実施する。

雨漏りで多い原因・部位【その他】

雨漏りで多い原因・部位【その他】

屋根や外壁に起因する雨漏りが一般的に多いですが、ここからはその他の部位で発生する雨漏りについて解説します。

部位別に起きる雨漏りの原因と対処法を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

雨樋

雨漏りの発生要因のなかで、雨樋が原因となるケースも多い傾向にあります。

特に屋根の軒先に沿って取り付けられている「横樋」は、落ち葉や枯れ葉などで詰まってしまう場合があります。

この横樋が機能していないと雨水が正常に排水されなくなるので、雨水が樋からあふれて軒先などが徐々に腐食していきます。

対処法

雨樋の詰まりが原因の場合:
樋の詰まりを解消させる。樋が破損している場合については、樋交換などを実施する。

軒先などが腐食している場合:
軒先が雨漏れで腐食している場合、軒先部分の部分的な葺き替えを実施する場合がある。ただし、部分交換が難しい場合、葺き替えなどを実施しなければならない場合もある。

防水(屋上・ベランダ)

屋上やベランダに施工されている防水層が原因で、雨漏りが発生する場合があります。

たとえば、防水層に切れや破断が生じた場合、その隙間から雨水が浸入して雨漏りになることもあります。

特にベランダなど歩行する部位なので、気付かぬうちに防水層に傷を付けてしまうと、経年劣化とは違う原因で防水層に不具合が発生します。

対処法

防水層に不具合が生じている場合、施工されている防水と同じ種類の防水工事を実施する。

ドレン廻り

防水部分で起きる雨漏りの原因として、ドレン廻りに起因するものがあります。

ドレンとはベランダや屋上防水部分で雨水を外部に排水するための装置(いわゆる排水口部分)で、防水が施工されている場所には必ず設置されています。

雨漏りの原因としては、ドレンが詰まることで周辺防水層の不具合から雨漏りする場合があります。

その他にも、ドレンが排水するために内側から外側につながっているパイプ部分の亀裂や破損が原因になるケースもあります。

対処法

改修用ドレンなどを利用してドレン廻りの防水工事を行う。または、全体的な劣化が見受けられる場合は、全体的な防水工事を実施する場合もある。

笠木

ベランダや屋上などに設置されている笠木が原因で、雨漏りにつながってしまうケースがあります。

笠木にはさまざまな種類がありますが、アルミなどの金属製笠木が取り付けられているのが一般的です。

基本的に、木造住宅の笠木などは下地に透湿防水シートが施工されています。

しかし、笠木の継ぎ目部分のコーキング材などが劣化することで雨水が侵入し、脳天打ち(笠木の天辺部位に釘打ちされている部分)から雨水が漏れてしまうことが多い傾向にあります。

対処法

笠木の雨漏りは下地木部などが腐食しているケースが多いため、下地の交換・補修を行った後、笠木の再取付または交換を行う。

まとめ

今回の記事では、雨漏りの原因について詳しく解説しました。

なお、本記事の要約は以下のとおりです。

  • 原因の特定は無駄な修理を避けて再発を防止するため重要
  • 外壁で起きる雨漏りの原因・部位は窓廻り、ひび割れ、伸縮目地、通気口が多い
  • 屋根で起きる雨漏りの原因は、天窓、板金部分、屋根材が多い
  • その他の部位は、雨樋、防水部、ドレン廻り、笠置周辺が多い

雨漏りが発生した場合は早期に原因を特定して、意味のある修理を実施するようにしましょう。

雨漏りの原因特定は知識や経験が必要なので、信頼できる業者を選定する必要があります。なお、雨漏り修理の業者選びについては、下記ページでも解説しているので参考にしてみてください。