屋根工事の中でも特に人気の高い屋根カバー工法を検討している場合、費用相場はどれくらいなのか気になっているという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、屋根カバー工法における費用相場や価格が変動する理由をプロが徹底解説します。
屋根カバー工法の費用相場が変動する要素とは?
屋根カバー工法の費用相場が変動してしまう理由は以下のとおりです。
- 屋根の形状
- 施工する面積
- 使用する材料
- 工法の種類
- 職人の人件費
- 資材の搬入経路
ここからは、なぜ屋根カバー工法の費用が変動してしまうのか?その理由について詳しく解説します。
屋根の形状
屋根カバー工法の費用相場が変動する理由の一つに、現状の屋根の形状が挙げられます。
代表的な屋根の形状には以下のような種類があります。
- 切り妻
- 寄棟
- 方形
- 陸屋根
- 片流れ
- 招き屋根
- 入母屋
- 錣(しころ)屋根
- 越屋根
- 差し掛け
- 半切妻屋根
- バタフライ
- 鋸屋根
- M型屋根
- マンサード屋根
- ギャンブレル屋根
- かまぼこ屋根
このように、ひとくちに屋根といっても非常に多くの屋根形状があります。
この屋根の形状によって当然施工の難易度や作業にかかる手間が変わってくるので、費用相場が大きく変動するということです。
施工する面積
屋根カバー工法の費用相場は、施工する面積によっても価格が大きく変動します。
例えば、80㎡の屋根面積と200㎡の屋根面積では、使用する材料の量や職人の人件費も大きく変動します。
一戸建て住宅においては、20坪の家と50坪の家では屋根の面積はまるで違うので、施工する面積がどれくらいになるのかが費用相場においては重要です。
使用する材料
使用する屋根材の種類によっても、屋根カバー工法の費用相場は変動します。
例えば、屋根カバー工法で多く使用されている屋根材には以下のような種類があります。
- 石粒付き金属屋根材
- 断熱材一体型金属屋根材
- 金属屋根材
これらのうち、どの種類の屋根材を使用するのか?またどのメーカーの屋根材にするのかによっても価格が変動します。
工法の種類
屋根のカバー工法は、施工する工事工法の種類によっても費用相場は変動します。
屋根カバー工法では、主に以下の2通りの工事方法が存在します。
- 防水機能向上が目的のカバー工法
- 美観性向上が目的のカバー工法
例えば、防水機能を向上させる目的で実施するカバー工法では、ルーフィング材と呼ばれる専用の防水紙を施工して仕上げます。
一方、美観性を向上させる目的のカバー工法では、現状の屋根材に直接金属屋根を接着して仕上げます。
このように、施工方法の種類によっても工事の手間が大きく変わるため、費用相場も変動するわけです。
職人の人件費
職人の人件費がどれくらいになるのかによっても、屋根カバー工法の費用相場は大きく変動します。
なお、職人の人件費が変動する理由は以下の通りです。
- 工事の手間
- 各地域における人件費の差
職人の人件費が変動する理由の一つが、工事にかかる手間の具合です。
例えば、職人2人で10日かかる仕事量と15日かかる仕事量では手間賃が大きく変わるため、全体的な費用相場も変わるということです。
また、各地域における人件費の差というのも費用変動する理由の一つです。
例えば、公共工事における全国の労務単価を例に挙げると、東京都の労務費は1日あたり¥30,700になっています。
一方で、最も低い島根県の1日あたりの労務費は、¥22,600と約八千円近くの費用が違うことになります。
これは職人一人の一日あたりの労務費なので、工事全体で見ると大きな費用変動の元になるということになります。
資材の搬入経路
屋根カバー工法で費用変動する理由の一つが、資材の搬入経路になります。
家の周囲にトラックが横付けできるのであれば、基本的に大きな費用変動はしません。
しかし、例えば家が高台で屋根材を階段で運ばないといけないケースや、狭小地で資材を横運びしなければならないようなケースでは、トラックを真横における物件とは搬入の手間が大きく変わります。
そのため、資材の搬入経路によっても価格は変動するということを覚えておきましょう。
屋根カバー工法の費用相場
ここからは、以下の屋根カバー工法における費用相場の例を紹介します。
- 金属屋根材(接着工法)
- 断熱材一体型金属屋根材
- 石粒付き金属屋根材
費用相場を参考にしつつ、全体的な予算規模を把握してみましょう。
金属屋根材(接着工法)
金属屋根材の中でも、接着工法に分類される商品としては以下のような種類があります。
- シーガード
- リコロニー
これらはスレート屋根専用に作られた商品で、専用の接着剤を塗布して金属屋根をそのまま張り付けていく工事方法になります。
なお、この工事方法はあくまで美感性の向上を目的にしているため、下地や防水性に問題のない物件にしか採用できません。
ただし、同じ美観目的で行う屋根塗装よりは優れた耐候性を実現できるメリットがあります。
金属屋根材(接着工法)の費用相場:600,000円から750,000円
※屋根面積60㎡(切り妻)を想定した価格
断熱材一体型金属屋根材
屋根カバー工法で最も採用されている屋根材が、断熱一体型ガルバリウム鋼板です。
このタイプの屋根材は、金属屋根の裏側にポリウレタンフォームが施工されてあるため、断熱性や遮音性が向上するメリットがあります。
各メーカーでさまざまな商品が発売されており、昨今のカバー工法では主流の屋根材といえるでしょう。
断熱材一体型金属屋根材の費用相場:700,000円から1,200,000円
※屋根面積60㎡(切り妻)を想定した価格
石粒付き金属屋根材
石粒付き金属屋根材とは、金属素材の屋根の表面に石粒(ストーンチップ)が吹き付けて仕上げられている屋根材です。
意匠性に優れており、デザイン重視でカバー工法を行いたい場合に人気の屋根材です。
一般的な金属屋根とは違い表面に石粒があるので、雨音なども軽減できるなど、昨今人気が高まっている傾向にあります。
石粒付き金属屋根材の費用相場:800,000円から1,500,000円
屋根カバー工法の費用相場を抑える3つの方法
屋根カバー工法の費用を抑えるためには、以下に挙げる3つのポイントをチェックしましょう。
- 相見積もりを実施する
- 火災保険が利用できないか確認する
- 補助金や助成金制度が活用できるかチェックする
ここからは、各ポイントについて詳しく解説します。
①相見積もりを実施する
屋根カバー工法の費用相場を簡単に下げることができる方法が、相見積もりを実施するという方法です。
例えば、3社の屋根業者にカバー工法の見積もり依頼をした場合、A社が100万円、B社が120万円、C社が250万円と提示されたとします。
複数の業者を比較することで、提示されている金額の妥当性を判断することができるほか、最安値の業者を簡単に見分けることもできます。
一方、ひとつの業者だけに見積もり依頼をした場合、その価格が本当に妥当なのかを知るよしはありません。
そのため、カバー工法を実施する際には、必ず複数の業者で相見積もりを行って比較するようにしましょう。
関連:屋根修理で見積もりを取る前に知っておくべきポイントを徹底解説!
②火災保険が利用できないか確認する
台風や強風の影響など、自然災害によって屋根が破損してカバー工法を検討している場合、火災保険が利用できるかチェックしてみましょう。
火災保険では自然災害によって受けた損害を補償してくれるため、場合によっては修理を火災保険で直すことができます。
ただし、火災保険は現状復旧が基本となるので、カバー工法で修理できる可能性は低く、葺き替え工事になる可能性があります。
関連:屋根修理で火災保険を利用するポイント!条件から申請手順まで
③補助金や助成金制度が活用できるかチェックする
所定の基準を満たすことで、リフォーム補助金や助成金を活用できる可能性があります。
例えば、長期優良住宅化リフォーム推進事業と呼ばれる補助金では、条件を満たすと最大で250万円まで補助金が使用できます。
なお、リフォームに関連する補助金や助成金は非常に多いため、利用できる制度がないかチェックしてみましょう。
関連:屋根修理で使える補助金・助成金とは?種類や事例を徹底解説!
まとめ
今回の記事では、屋根カバー工法の費用相場について詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 屋根の形状や面積で価格変動する
- 使用する材料・工法によっても価格は変わる
- 職人の人件費や資材搬入経路も費用変動する
- 金属屋根材(接着工法)の費用相場は600,000円から750,000円
- 断熱材一体型金属屋根材の費用相場は700,000円から1,200,000円
- 石粒付き金属屋根材の費用相場は800,000円から1,500,000円
※屋根面積60㎡(切り妻)を想定した価格
屋根のカバー工法は、60万円〜150万円程度と非常に幅も広いため、信頼できる屋根業者に依頼することが重要です。