社会問題にも発展したアスベストは、住宅におけるスレート屋根に含有して製造されていた時代があります。そんなアスベスト含有のスレート屋根はどうして危険なのか?よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、どうしてアスベストがスレート屋根に含まれていると危険なのか?その理由について解説します。また、ご自宅のスレート屋根にアスベストが含まれているか見分ける方法や撤去費用相場、最適なリフォーム方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベストがスレート屋根に含まれていると危険な理由

アスベストがスレート屋根に含まれていると危険な理由

アスベストが住宅のスレート屋根材に含まれている場合、いくつかの危険性があることを理解しなければんりません。

アスベストというのは非常に細かい繊維のため、この繊維が人体に吸入されると肺などの呼吸器系に健康問題を引き起こす可能性があることで知られています。

この繊維は非常に細く空気中にも浮遊しやすいため、経年劣化したスレート屋根が破損すると周囲に放出されることがあります。

この繊維は一度吸入すると、容易に取り除かれることはありません。そのため、慢性的な肺疾患や、より深刻な場合には中皮腫という種類のがんを引き起こす可能性があるとされています。

このようなことからも、アスベストを含むスレート屋根というのは、住宅の居住者だけでなく、その周辺の住民にとっても高いリスクがあるというわけです。

アスベストが含まれたスレート屋根の撤去費用相場

アスベストが含まれたスレート屋根の撤去費用相場

アスベストが含まれたスレート屋根の撤去費用相場は、一般的な住宅の場合、おおよそ50万円から100万円程度となっています。

通常の屋根材撤去費用とは異なり、アスベストの取り扱いには専門性が求められます。適切な手順で安全にアスベストを取り扱う必要があるので、これに伴うコストが撤去費用に反映されているということです。

また、撤去後の廃棄物についても費用に大きく影響しています。アスベストの処分費用は、通常の産業廃棄物とは異なり非常に高額です。

これらの理由から、アスベストの撤去および産業廃棄物処理費用が高い傾向にあるということです。

スレート屋根にアスベストが含有しているか見分ける方法

スレート屋根にアスベストが含有しているか見分ける方法

ここからは、スレート屋根にアスベストが含有しているか見分ける方法について解説します。

ご自宅の屋根にアスベストが含まれているか確認して、最適な工事方法を検討してみましょう。

建築時期

スレート屋根にアスベストが含まれているかどうかの見分け方の一つに、建築された時期を基にする方法があります。

アスベストはかつて、その耐火性、耐久性、および絶縁性のために広く使用されていました。特に、2004年以前に建設された建物というのは、屋根材にアスベストを含む可能性が非常に高い傾向にあります。

一方、2004年に入ると、アスベストの健康リスクが広く認識されるようになり、その使用が制限または禁止されるようになりました。

そのため、2004年初期のものはまだアスベストを含む可能性がありますが、2004年代以降のものは含有率が大幅に低下しているといえるでしょう。

ただし、建築時期だけを頼りに判断するのはリスクが伴いますので、次項以降で解説する方法も試してみましょう。

商品名

スレート屋根にアスベストが含有しているかどうかを見分ける方法として、商品名や関連データベースを活用する方法があります。

特にメーカーの公式サイト「石綿(アスベスト)に関する見解書(第5版)」には、製品に関する詳細な情報が提供されています。アスベストを含むかどうかの商品情報が記載されている場合があるため、確認する価値があるでしょう。

さらに、国土交通省が提供する「石綿(アスベスト)含有建材データベース」も非常に有用なツールです。このデータベースでは、過去に市場に出回っていたアスベストを含む建材のリストや情報が公開されています。

商品名やメーカー名を入力することで、該当する建材がアスベストを含有しているかどうかの情報を簡単に取得することができますので、一度チェックしてみましょう。

専門家に依頼する

スレート屋根にアスベストが含有しているかどうかの最も確実な判断方法は、専門家に依頼することです。

専門家は対象となるスレート屋根の劣化状況や築年数など、さまざまな方法でアスベスト含有またはノンアスベストなどを判断してくれます。

また、その結果をもとに、屋根の安全性や今後の対処方法についてのアドバイスを提供してくれる場合が多いです。

もしアスベストが検出された場合、適切な対策やリフォームの方法、または撤去の必要性など、具体的な指導をしてくれるでしょう。

そのため、自分でアスベスト含有を判断できない場合、専門家に調査点検を依頼することが重要です。

アスベスト含有のスレート屋根に適したリフォーム方法

アスベスト含有のスレート屋根に適したリフォーム方法

アスベスト含有のスレート屋根には、いくつかの適したリフォーム方法が存在します。それぞれのメンテナンス方法で特徴が分かれるので、どれが最適なのか確認してみましょう。

ここからは、アスベスト含有のスレート屋根に適した3つのメンテナンス方法について解説します。

塗装

アスベストを含むスレート屋根に対するリフォーム方法として、塗装や塗り替え工事が挙げられます。

この方法は、アスベスト繊維の放出を抑制できるほか、屋根の外観を美しく保つための効果的な方法のひとつです。

アスベストは、空気中に放出されると健康リスクが高まるため、その放出・飛散を防ぐことが重要です。そのため、塗装工事でスレート屋根の表面に塗料を均等に塗布することで、アスベスト繊維が外部に放出されるのを効果的に防ぐ役割を果たしてくれるでしょう。

また、新しい塗料の層は、屋根材本体の防水性や耐候性も向上させるため、屋根の寿命を延ばすことも期待できます。

しかし、アスベストを含むスレート屋根の塗装作業は、一般的な屋根の塗装とは異なり専門的な知識や技術が必要です。

例えば、繊維の飛散を防ぐための特別な下地処理や、アスベストに適した塗料の選択など、細心の注意をしなければなりません。

そのため、この種のリフォームを検討する際は、アスベストの取り扱いに熟知したプロフェッショナルに依頼しましょう。

カバー工法

アスベストを含むスレート屋根のリフォームには、カバー工法、別名「重ね葺き」という方法も選択肢として考えられます。

この方法は、新しい屋根材を既存のスレート屋根の上に直接重ねて取り付けるという工事方法です。

カバー工法の最大の利点は、アスベストの放散を最小限に抑えることができる点です。

屋根を撤去する際にはアスベスト繊維が飛散するリスクがありますが、カバー工法では既存の屋根をそのまま残して新しい屋根材で覆うため、このリスクを大幅に軽減することができます。

また、カバー工法は、工事期間や費用を抑える点でも効果的です。

既存の屋根を取り外すことなく施工が可能なため、工事の手間や時間が短縮されるほか、撤去費用も削減できるというわけです。

ただし、カバー工法を適用する際には、既存の屋根の状態や建物の構造、新しい屋根材の重量など、多くの要因を考慮する必要があります。

葺き替え

アスベストを含むスレート屋根のリフォームにおいて、葺き替えという手段も適している方法のひとつです。

葺き替えの最大の利点は、屋根全体を新しい屋根に変更できる点で、長期的な耐久性や安全性を確保できるメリットがあります。

ただし、アスベストを含むスレート屋根の葺き替えは、通常の葺き替えよりも特に注意が必要です。

撤去作業中にアスベスト繊維が飛散しないよう適切な措置をとる必要があるめ、専門的な技術や知識を持った業者に作業を依頼することが不可欠です。

葺き替えは、他のリフォーム方法に比べて初期費用が高くなる可能性がありますが、長期的な視点で考えると、建物の価値向上やメンテナンスの軽減などのメリットが期待できます。

まとめ

今回の記事では、スレート屋根のアスベストに関する基礎知識について詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • アスベスト含有のスレート屋根は劣化すると飛散するリスクがある
  • 飛散したアスベストは近隣にも影響する可能性がある
  • 撤去費用は50万円から100万円程度
  • 建築時期や商品名から含有を判断できる可能性がある
  • 詳細は専門家に依頼して点検することが重要
  • 最適なリフォーム方法は、塗装・カバー工法・葺き替えの3つ

屋根材にアスベストが含まれていると健康被害を出す可能性もあるので、早期にメンテナンスを実施しましょう。