「屋根工事ってどれくらいの費用が必要なの?」「30坪くらいの屋根を葺き替えるならいくら?」このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、一般的な大きさである30坪の戸建て住宅を例にして、葺き替え工事の費用相場を徹底解説します。
屋根葺き替えは30坪の住宅でいくらが相場?
一般的な住宅(30坪程度)の屋根の葺き替えにかかる費用相場は、通常、120万円から250万円程度に収まることが多いです。
ただし、屋根の葺き替え工事に必要な費用は、さまざまな要因で増減する傾向にあります。
そのため、上記の金額はあくまで一般的な費用相場として捉えてください。
詳細の金額を調べる際には、業者に依頼して見積金額を提示してもらいましょう。
同じ30坪の屋根葺き替えでも費用相場が変動する理由
屋根の葺き替え工事にかかる費用というのは、同じ大きさの物件でも費用が変動する場合があります。
ここでは、何故同じ大きさの大きさの物件で葺き替え工事の費用が変動するのか?その理由について解説します。
屋根材の種類
葺き替え工事の費用相場が変動する理由の一つが、屋根材の種類になります。
例えば、現状の屋根が瓦屋根で仕上げられている場合、軽量の屋根材に比べて重量もあるので撤去費用が多くかかります。
また、新しく作る屋根が金属屋根の場合、軽量で加工もしやすいので比較的工事費用を押さえることができます。
一方で、瓦屋根に仕上げる場合、金属屋根に仕上げるよりも手間がかかるので工事費用は増します。
このように、屋根材の種類によって工事費用が変動することを覚えておきましょう。
屋根の形状
同じ大きさの建物でも、屋根の形状によって葺き替え工事の費用相場は変動します。
屋根の形状には、以下のような種類があります。
- 切妻
- 片流れ
- 寄棟
- 方形
- 差しかけ
- 入母屋
- 腰折
- 招き造り
これらはあくまで一例ですが、ひとくちに屋根と言ってもこれだけの形状の種類があると言うことです。
形状によって加工する手間が大きく変動するため、それに応じて工事に必要な価格差も開いてきます。
屋根の勾配
屋根の勾配によって葺き替え工事の費用が大きく変動します。
勾配とは「傾斜」のことで、屋根の角度のことを指しています。
勾配が急になるほど作業が困難になるので、緩い勾配よりも作業費が上がる傾向にあります。
特に急勾配で屋根足場が必要になるケースでは、危険性がある上に作業性が大幅に落ちるので、工事費用は高額になることを覚えておきましょう。
下地の劣化状況
屋根の劣化状況が悪い場合、下地補修をしなければなりません。
この下地処理は劣化状況に応じて補修内容が変わるため、劣化が進行している場合は相応の修理費用が必要になるでしょう。
反対に、下地が問題なければ特別な補修をせずに葺き替え工事をすることも可能です。
資材の搬入経路
屋根の葺き替え工事は、資材の搬入経路によって価格が変動します。
例えば、建物の近くに車が入れないような場合、屋根材を手で横運びしなければなりません。
また、既存の屋根材を撤去した際の廃材も手運びでトラック付近まで運ぶ必要が出てくるので、搬出入費用が多くかかるでしょう。
このように、搬出入経路次第では、同じ広さの住まいでも費用が増減するということです。
下屋の有無
同じ大きさの建物でも、下屋の有無によって価格差に変動が生じます。
最上階部分にある屋根のことを大屋根といいますが、下屋とは1階部分に取り付けられている屋根のことを指します。
2階よりも1階部分の延べ床面積が広い住宅の場合、基本的に下屋が用いられている傾向にあります。
下屋があることで屋根全体の面積が増えるほか、加工の手間も増えてしまうため、下屋のない住宅に比べて下屋のある住宅は割高になるといえます。
アスベストの有無
既存の屋根にアスベストが含まれている場合、撤去費用と処分費用が多くかかります。
特に古い住宅のスレート屋根の場合、アスベストが含有しているケースが多いです。
アスベストは健康被害が起きる可能性のある材質で、撤去時に粉塵ができるだけ飛散しないように作業しなければなりません。
通常の解体よりも非常に手間のかかる作業のため、撤去費用や処分費用が割高になります。
屋根葺き替えを30坪の住宅で行った場合の費用例を紹介
ここからは、一般的な住宅の大きさである30坪を基準にした屋根の葺き替え費用相場を紹介します。
屋根材の種類別の費用相場となっているので、ぜひ参考にしてみてください。
瓦から軽量瓦に葺き替えた場合
工事内容 | 費用(切妻80㎡) |
仮設足場費用 | 15万〜20万円 |
瓦屋根撤去・処分 | 25万〜35万円 |
下地工事(野地板増し張り) | 15万〜20万円 |
防水シート張り | 8万〜10万円 |
役物板金工事 | 10万〜20万円 |
軽量瓦(樹脂繊維セメント)葺き | 65万〜80万円 |
棟取付工事 | 5万〜10万円 |
諸経費 | 10万〜15万円 |
合計 | 153万〜210万円 |
瓦から金属屋根に葺き替えた場合
工事内容 | 費用(切妻80㎡) |
仮設足場費用 | 15万〜20万円 |
瓦屋根撤去・処分 | 25万〜35万円 |
下地工事(野地板増し張り) | 15万〜20万円 |
防水シート張り | 8万〜10万円 |
役物板金工事 | 10万〜20万円 |
金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き | 55万〜70万円 |
棟取付工事 | 5万〜10万円 |
諸経費 | 10万〜15万円 |
合計 | 143万〜200万円 |
スレート屋根から金属屋根に葺き替えた場合
工事内容 | 費用(切妻80㎡) |
仮設足場費用 | 15万〜20万円 |
スレート屋根撤去・処分 | 20万〜30万円 |
下地工事(野地板増し張り) | 15万〜20万円 |
防水シート張り | 8万〜10万円 |
役物板金工事 | 10万〜20万円 |
金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き | 55万〜70万円 |
棟取付工事 | 5万〜10万円 |
諸経費 | 10万〜15万円 |
合計 | 138万〜195万円 |
30坪の屋根葺き替えで費用を節約する方法
屋根の葺き替え工事はリフォームの中でも高額な種類の工事になります。そのため、なるべき工事費用を押さえたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、葺き替え工事の費用を合理的に節約する方法について紹介します。
相見積もりで業者同士を比較する
葺き替え工事にかかる費用というのは、工事業者によっても大きく価格の差が開いてきます。
例えば、A社で見積もりを取ると130万円だったのに対し、B社で見積もりを取ると280万というケースはザラにあります。
そのため、見積もり依頼を1社で済まそうとした場合、最初にB社のような高額な会社になる可能性もあるということです。
これを防ぐためには、複数の会社で相見積もりを取るという方法が有効です。
最低3社程度から見積もりを取ることで、A社は130万円、B社は280万円、C社が150万円といった具合におおよその適正価格を知ることができるからです。
無駄に高額な費用を支払わないためにも、相見積もりで適正価格を調べて費用を節約しましょう。
関連:屋根修理で見積もりを取る前に知っておくべきポイントを徹底解説!
葺き替える原因が自然災害なら火災保険を利用する
自然災害が原因で葺き替え工事を実施する場合、火災保険を利用することで費用の大半をカバーすることができます。
火災保険は自然災害による損害もカバーしている保険のため、例えば、強風で屋根が飛ばされてしまい葺き替え工事が必要になったケースも補償対象となります。
火災保険が利用できれば、免責金額を除いた工事費用をまかなうことができるので、工事費用を大幅に節約できるでしょう。
ただし、火災保険はあくまで自然災害による損害を対象にしています。
そのため、経年劣化によって葺き替え工事を実施する場合は対象外となるので注意しましょう。
関連:屋根修理で火災保険を利用するポイント!条件から申請手順まで
利用できる補助金や助成金がないか調べてみる
リフォーム補助金の制度を活用することで、葺き替え工事の費用を節約することができます。
例えば、長期優良住宅化リフォーム推進事業という制度を活用することで、1戸あたりの補助限度額が150万円までカバーすることができます。※評価基準型の場合
また、各自治体で独自の補助金・助成金制度を実施しているケースもあります。
これらの制度を活用すると工事費用の一部をカバーすることができるので、利用できる制度がないかチェックしてみましょう。
関連:屋根修理で使える補助金・助成金とは?種類や事例を徹底解説!
まとめ
今回の記事では、30坪の住宅で葺き替えをした場合のポイントについて詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 30坪の戸建ての葺き替え費用相場は120万円から250万円程度
- 屋根材の種類や屋根の形状・勾配・劣化状況で価格は変動する
- 資材の搬入経路や下屋の有無、アスベストの有無でも価格変動する
- 相見積もりで適正価格を知ることが重要
- 自然災害が原因なら火災保険を利用する
- 補助金や助成金制度を活用する
今回紹介した内容を参考にしつつ、葺き替え工事を検討してみてください。