戸建て住宅に多く採用されている屋根材のスレート屋根は、経年的に劣化が促進します。そのため、適切な時期で改修工事をしなければなりません。

スレート屋根のリフォームには非常に多くの種類があり、中でも人気の高いリフォーム種別に塗装工事という方法が存在します。

しかし、スレート屋根の塗装は必要がないという情報もネット上には多く散見されているため、その必要性について知りたいという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、スレート屋根の塗装工事は意味ないのか?その必要性について徹底解説します。

スレート屋根とは

スレート屋根とは

スレート屋根の改修方法を知るためには、まずスレート屋根の特徴について理解しておきましょう。

ここでは、スレート屋根の種類や特徴、メリットデメリットについて詳しく解説します。

スレート屋根の種類と特徴について

住宅で採用されているスレート屋根は、大きく2種類に分類することができます。

まず、天然スレートとは、天然の粘板岩を薄板状に加工して作られている屋根材で、耐久性や防火性に優れている特徴があります。

また、無機質な天然の粘板岩なので、塗装なども必要なく天然の風合いを楽しむことができます。

一方、多くの住宅で使われているスレート屋根は、化粧スレートと呼ばれる種類になります。

化粧スレートとは、セメントに繊維素材を混ぜて成形加工したスレート屋根材で、表面に塗装処理が施されています。

こちらの種類は天然スレートとは違い紫外線による影響で劣化するため、築年数と共に表面の塗装が剥がれるといった現象が発生します。

スレート屋根(化粧スレート)のメリットとデメリット

国内の戸建て住宅で最も普及している化粧スレートには、以下のようなメリットがあります。

  • 価格が安い
  • 軽量で耐震性が高い

スレート屋根の大きなメリットの一つに、価格が安いことが挙げられます。施工性もよく安価に仕上げることができるので、多くの住宅に普及しているというわけです。

また、軽量で耐震性が高いこともメリットといえます。住宅は屋根の重量が増えるにつれて横揺れに弱くなるため、軽量な屋根材であるスレート屋根は耐震面でもメリットがあります。

一方で、スレート屋根には以下のようなデメリットもあります。

  • ひび割れや破損しやすい
  • 耐用年数が短い

スレート屋根(化粧スレート)は天然石ではないので、衝撃にも弱くひび割れや破損がしやすい一面があります。

また、表面は塗装で仕上げられているため、耐用年数が天然石と比較して短いデメリットもあります。

スレート屋根に塗装する意味とは?必要性について

スレート屋根に塗装する意味とは?必要性について

スレート屋根(化粧スレート)で人気の高いリフォームといえば塗装工事ですが、どういった意味合いがあるのか理解しておくことが重要です。

そこでここからは、スレート屋根における塗装工事の意味合いや必要性について解説します。

建物の美観目的

経年劣化したスレート屋根というのは、色あせや退色、変色といった劣化現象が進行します。

これを放置することでスレート材の劣化は促進するため、屋根の美観が損なわれてしまいます。外装において外壁に次いで面積の広い屋根というのは、美観上重要な役割を持っています。

しかし、コケや藻などの微生物や色あせが起きると美観性が維持できなくなるので、塗装工事を行い屋根をリフレッシュさせるというわけです。

屋根材自体の保護

スレート屋根を塗装する意味合いで重要なポイントの一つが、屋根材自体の保護です。

スレート屋根というのは、セメントに繊維素材を混ぜて加工された基板に対して、表面に塗装処理が施されています。

この塗装部分が基盤を保護しており、塗膜がなくなると紫外線や雨などが直接基盤を侵食することになります。

このような状態を防ぐためにも、基盤を塗装で保護してあげることが重要ということになります。

スレート屋根に塗装する意味がないと言われている理由

スレート屋根に塗装する意味がないと言われている理由

インターネットを検索すると、スレート屋根の塗装に意味がないという専門家も多くいます。一方で、塗り替えの重要性を説く専門家もいるため、何故意見が分かれているのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、スレート屋根に塗装する意味がないと言われている理由について解説します。

防水の効果が限定的

スレート屋根に塗装する意味がないと言われている理由の一つ目が、塗装の防水効果が限定的である点です。

屋根というのは構造上、下地となる野地板の上に防水シート(アスファルトルーフィング)が施工されています。そしてこの防水シートの上にスレート屋根材が葺かれており、二重構造によって防水性を高めています。

ただし、塗装はあくまで屋根材の保護塗装という意味合いが強いです。

要するに、屋根の防水性を高めているのはあくまでアスファルトルーフィングであり、屋根材の防水性は限定的であるという見解があるので、塗装は意味がないといわれているわけです。

塗装することによる雨漏りリスク

昨今はインターネットが普及したことによって、従来下請け仕事しかしてこなかった業者もホームページを持つようになりました。

しかし、下請け業者の多くは元請けの指示通りに作業をしているケースが大半のため、建物の構造や材質などの知識に乏しい傾向にあります。

このような知識の少ない業者がスレート屋根を塗装した場合、本来雨水が排水されるべき隙間を塗装で埋めてしまうことがあります。

塗装によって雨水が適切に排水されなくなるので、出口を失った雨水は毛細管現象によって屋根材の裏側にまで浸水してルーフィングまで到達します。

このルーフィングに問題がなければ雨漏りに繋がることはありませんが、亀裂や断裂、釘穴などから雨水が浸入してしまうことは非常に多いです。

これらの現象は適切な塗装処理を施さないことで起きるトラブルなので、塗装をする意味がないまたはリスクが高いと警鐘を鳴らす専門家が一定数いるということです。

各業者のポジショントーク

専門家の中でも意見が分かれるスレート屋根の塗装というのは、実は各業者のポジショントークだったりもします。

例えば、塗装を専門にしている塗装業者なら、スレート屋根の塗装は必要と解説しているケースが大半でしょう。

一方、屋根工事を専門にしている業者なら、塗装は必要なく、必要なのは屋根工事であると解説しているケースが大半です。

要するに、これらの解説は業者のポジションによって意見が分かれているので、初心者の方にとって分かりにくい状況が生まれているとも言えます。

スレート屋根に塗装を選択するのに適しているケース

スレート屋根に塗装を選択するのに適しているケース

ヤネットの場合、塗装も行えば屋根工事も実施する外装リフォームを専門としています。フラットな観点から、屋根塗装はどのようなケースに適しているのかを判断することができます。

そこでここからは、スレート屋根に塗装を選択するのに適しているケースの具体例を紹介します。

防水機能に問題がない住宅

スレート屋根に塗装を選択するのに適しているケースとして、防水機能に問題がない建物が挙げられます。

先にも解説した通り、屋根の防水機能の多くは防水シートで行われています。逆にいってしまえば、防水機能に問題がなければ、雨漏りなども起きないわけです。

一方で、すでに雨漏りが起きている住宅については、屋根の収まりやルーフィングなどに問題がある状態がうかがえます。

このような状態で塗装をしても雨漏りは解決しないため、塗装工事は適切ではありません。しかし、雨漏りもなく防水機能に問題がないなら、塗装工事は安価に行える屋根リフォームとして最適ともいえます。

新築後に初めて行う外装リフォーム

新築後に初めて行うリフォームの場合、屋根塗装は屋根工事よりも安価に済ますことができるなど、メリットの多い選択肢といえます。

築10年前後の多くは外壁塗装などを実施するため、このタイミングなら屋根塗装を選択するのは問題ないといえます。

その理由に、昨今の防水シートは安価なタイプで15年程度の耐用年数が見込めます。長いものだと30年、50年という防水シートもあります。

初回の外装リフォームで防水性に問題が出ていることはほとんどないので、屋根塗装を選択するのも良いでしょう。

まとめ

今回の記事では、スレート屋根の塗装は意味あるのか?について詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • 塗装は建物の美観目的と屋根材自体の保護
  • 塗装の防水効果は限定的
  • 塗装することで雨漏りすることがある
  • 業者のポジショントークという一面も
  • 屋根の防水機能に問題なければ塗装もおすすめ
  • 新築後はじめての外装リフォームにもおすすめ

スレート屋根の塗装は業者によっても意見が分かれますが、比較的安価に美感性を向上できる人気のリフォームです。

そのため、屋根の防水性能に問題がなければ塗装の選択も問題ありません。ただし、現状の防水性能を正しく見極めるためにも、専門知識を有する経験豊富な業者に調査を依頼しましょう。