戸建て住宅の屋根に多く採用されているスレート屋根(化粧スレート)は、非常にポピュラーな屋根材の一つです。

一方、台風や強風の影響で被害を受けてしまうことも多いので、スレート屋根を守るためにも適切な台風対策を実施する必要があります。

そこで本記事では、スレート屋根で起こりやすい台風被害の種類を解説すると共に、適切な台風対策法について紹介します。

スレート屋根で発生する台風被害の種類

スレート屋根で発生する台風被害の種類

スレート屋根で仕上げられている住宅の場合、台風被害を受けた際にいくつかの種類に分類することができます。台風被害の種類を知っておくことで対策法も理解できるため、まずはどのような被害が起こりうるのかをチェックしてみましょう。

ここでは、スレート屋根に起こりやすい台風被害の種類について解説します。

棟板金部分が飛ばされる

スレート屋根の台風被害で多いのが、棟板金部分が強風で吹き飛ばされてしまうケースです。

棟板金とは屋根の一番天辺の部分に取り付けられている屋根材の一種で、スレート屋根には必ず取り付けられています。

棟板金の構造は、貫板(ぬきいた)と呼ばれる木材の下地の上に金属の屋根材を被せて仕上げられており、これにより雨水の浸入を防いでいます。

しかし、この板金部分は釘で下地の貫板に固定されているため、腐食が進むと釘が抜けてしまう、または浮いてきてしまいます。

このような状態の際に台風が来ると風圧に耐えられなくなるので、棟板金部分が飛ばされてしまうということです。

屋根材自体が飛ばされる

棟板金の台風被害と同様に、強風の影響でスレート屋根自体が吹き飛ばされてしまう被害も多いです。

スレート屋根(化粧スレート)はセメントと繊維素材を薄い板状に形成させた屋根材で、基板表面を塗装で処理して保護しています。

新築時は耐風圧にも強く問題がありませんが、紫外線の影響を受けて基板表面の塗装が徐々に劣化していきます。

この劣化が促進すると塗膜が剥がれ基板がむき出しになり、紫外線や雨風の影響を受けた屋根材はどんどん反っていってしまいます。

屋根材自体が反ってしまうと下から強風が吹き上げると影響を受けやすく、屋根材自体が飛ばされやすくなってしまうわけです

アンテナが倒れる

スレート屋根にはTVアンテナが取り付けられているケースが多いため、台風の影響で倒れてしまうことは少なくありません。

また、アンテナが倒れないケースでも、アンテナの方向が強風で変わってしまいうまく受信できなくなってしまうケースも非常に多いです。

台風の影響でこのようなアンテナのトラブルが起きた場合、テレビの映りが悪くなる、または視聴できなくなるので注意しましょう。

スレート屋根の台風対策と費用相場

スレート屋根の台風対策と費用相場

スレート屋根で台風対策において、気になることといえば対策方法とその費用相場です。

そこでここからは、スレート屋根の台風対策と費用相場について詳しく解説します。

棟板金交換

スレート屋根の台風被害で多い棟板金部分は、事前に交換しておくことで飛ばされてしまうリスクを減らすことができます。

先にも解説した通り、棟板金は釘で留め付けてありますが、経年劣化によって釘が浮いて留めが弱くなってしまいます。

また、下地となる貫板は木材なので、雨や湿気の影響を受けて腐ってしまうことも非常に多いです。

この状態で台風や強風が吹くと飛ばされてしまうリスクが高くなるので、事前に棟板金部分を交換することが重要ということになります。

棟板金交換

7,000~12,000円/m
(税込)

カバー工法

スレート屋根の劣化が進行している場合、屋根工事を行うことで台風の影響を受けにくくすることができます。

なかでも、屋根の下地に問題がない場合については、現状の屋根の上に新しい屋根を作るカバー工法がおすすめです。

カバー工法の場合、既存屋根を撤去することなく工事できるので、工事期間や費用を圧縮することが可能です。

屋根の劣化が進行して補修部位が多い場合については、全体工事のカバー工法も検討してみましょう。

カバー工法

103万〜145万円/切り妻80㎡
(税込)

葺き替え工事

スレート屋根の劣化具合が進行して下地にまで影響が出始めている場合、葺き替え工事が適しているケースがあります。

葺き替え工事とは、既存の屋根を全て撤去して、新しい屋根を造り込む工事のことを指します。

屋根が二重になることがなく下地から修繕できるので、劣化が進行している屋根に適している全体工事になります。

葺き替え工事

138万〜195万円/切り妻80㎡
(税込)

スレート屋根の台風被害は火災保険を活用しよう!

スレート屋根の台風被害は火災保険を活用しよう!

台風などの自然災害によってスレート屋根に被害が出た場合、火災保険が活用できる可能性があります。

一般的な火災保険は補償範囲が定められており、台風や強風被害は風災保証でまかなうことができます。

この風災保証では、強風の影響で屋根材が飛ばされてしまうようなケースや、アンテナの破損、樋の損傷といった被害もカバーすることができます。

ただし、これらの保証を受けるためには、あくまで自然災害による被害でなければなりません。通常の経年劣化が原因で破損するようなケースでは、被害は保証されないため注意しましょう。

なお、加入している火災保険会社によって規約が若干異なるため、火災保険を活用する際には加入している保険会社に確認を取りましょう。

まとめ

今回の記事では、スレート屋根における台風被害の種類と対策法について詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • 強風で棟板金が飛ばされることがある
  • 屋根自体も飛ばされるケースがある
  • アンテナが倒れてしまうこともある
  • 棟板金は事前に交換しておくと飛ばされるリスクが減る
  • 劣化している屋根はカバー工法で直しておくのがおすすめ
  • 下地まで腐食している屋根は葺き替え工事も検討してみる
  • 台風被害は火災保険が活用できる可能性がある

スレート屋根は多くの住宅で採用されている人気の屋根材です。しかし、適切な対策をしていない状態で台風が来ると被害を受けてしまう可能性があるので、不具合箇所は予め修理しておくことが重要です。

適切な台風対策を施した上で、二次被害を出さないようにしましょう。