住宅の屋根に多く採用されている屋根材『スレート屋根』は経年劣化を起こすため、葺き替え工事などのメンテナンスが必要です。一方で、葺き替え工事の必要性や、タイミングについて知りたいという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、スレート屋根の葺き替えるメリットや工事に適している時期、一般的な費用相場などを詳しく解説します。また、葺き替え工事を依頼する際の業者を選ぶポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

スレート屋根で葺き替えが必要な時期

スレート屋根で葺き替えが必要な時期

屋根の修理を行う際に葺き替え工事を選択する場合、適切な時期・タイミングというものが存在します。これらを理解せずに工事を実施すると、ライフサイクルコストで損をする可能性が出てくるので注意しましょう。

そこでここからは、本来のスレート屋根の寿命、葺き替え時期として適切なタイミングの目安について紹介します。

スレート屋根の寿命について

戸建て住宅に採用されているスレート屋根には、天然スレートと化粧スレートの2種類が存在します。天然スレートはその名の通り天然の粘板岩を加工した屋根材なので、耐久性が長く割れない限りは半永久的に利用できます。

一方で、多くの戸建てについては、化粧スレートと呼ばれるセメントに繊維を混ぜて加工した屋根材になります。この化粧スレートは天然石とは違い、表面に塗装をすることで基盤を保護しているため、寿命は概ね20年から30年程度と言われています。

葺き替え時期の目安

化粧スレートの屋根材は20~30年程度が寿命なので、葺き替えをするのに適している時期は概ね20年程度と言えます。

また、天然スレートは屋根材自体の寿命は長いものの、下地は湿気や経年劣化によって腐食するのため、いずれにしても概ね20年程度で葺き直しをする必要があるでしょう。

以上の点からも、スレート屋根における葺き替え時期の目安としては、築20年から30年程度にするのが適切と言えるでしょう。

スレート屋根を葺き替えるメリット

スレート屋根を葺き替えるメリット

スレート屋根のリフォームにはいくつかの種類がありますが、葺き替え工事を選択した場合のメリットは以下のとおりです。

  • 屋根全体の寿命が延びる
  • 耐震性が向上する
  • 屋根材の選択肢が増える

ここからは葺き替え工事のメリットについて詳しく解説します。

屋根全体の寿命が延びる

スレート屋根を葺き替える大きなメリットのひとつが、寿命が延ばせるという点です。

塗装やカバー工法とは違い、葺き替え工事では既存の屋根を全て撤去してから新しい屋根を造り込みます。そのため、下地の腐食なども同時に修理することができるので、より強固な屋根工事を行うことができます。

表面的な修理ではなく下地から修理できるというのは、建物の寿命を延ばすという観点からも非常に重要と言えるでしょう。

耐震性が向上する

スレート屋根を葺き替える場合のメリットとして、耐震性の向上が挙げられます。

屋根工事には葺き替えの他にもカバー工法などがありますが、カバー工法の場合は既存屋根の上に新しく屋根を作ります。既存屋根+新しい屋根の重量が加わることになるので、屋根の総重量は結果的に増加します。

もちろん、建物の耐震基準が問題なければ耐震性に大きな影響を与えることはありません。ただし、現状で耐震評価に問題がある住宅の場合、屋根重量が増えるカバー工法は適切でないと判断できます。

一方で、葺き替え工事の場合、現状の屋根は全て撤去することになるので、屋根の総重量が増加することはありません。そのため、耐震性の観点からも葺き替え工事はメリットがあると言えるでしょう。

屋根材の選択肢が増える

スレート屋根で葺き替え工事を選択した場合、屋根材の選択肢が増える点もメリットと言えます。

例えば、カバー工法の場合、屋根の総重量が増加してしまうので、基本的に軽量な金属屋根を採用する傾向にあります。金属屋根以外の屋根材は選択肢から除外されてしまうので、屋根材の選択肢は少ないです。

一方で、葺き替え工事の場合、仕上げの屋根材に制限がないので、自由に屋根材を選ぶことができます。そのため、この屋根材の選択肢が増えるという点は、スレート屋根を葺き替える大きなメリットと言えるでしょう。

スレート屋根の葺き替えに必要な費用相場

スレート屋根の葺き替えに必要な費用相場

スレート屋根を葺き替える際の費用は、下地の状況や施工面積などさまざまな点で変動があります。そのため、ここでは屋根の形状が『切妻』、施工面積が約80㎡で金属屋根に葺き替え場合を想定し、一般的な費用相場を紹介します。

詳細は各工事店にて見積もりを依頼する必要がありますが、相場観を確認するために参考にしてみてください。

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

スレート屋根撤去・処分

20万〜30万円

下地工事(野地板増し張り)

15万〜20万円

防水シート張り

8万〜10万円

役物板金工事

10万〜20万円

金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き

55万〜70万円

棟取付工事

5万〜10万円

諸経費

10万〜15万円

合計

138万〜195万円

スレート屋根を葺き替える際の業者の選び方

スレート屋根を葺き替える際の業者の選び方

葺き替え工事は大がかりな屋根工事になるので、工事品質が高い業者で実施することが重要です。一方で、初めて屋根工事を実施する方は、どのようなポイントに気を付けて業者選定をするべきなのか分からないというケースも少なくありません。

そこでここからは、スレート屋根を葺き替える際の業者選定の方法や、工事業者を比較するポイントについて詳しく解説します。

相見積もりで比較する

スレート屋根の葺き替え工事に対応できる業者を探す際には、最低3社に見積もり依頼をしましょう。1社だけに見積もりを依頼した場合、仮に暴利で見積もりを出されたとしても、その価格の適正具合などを正しく判断することができません。

しかし、3社から見積もりを取ることで適正価格がどの程度なのかを把握することができます。また、提案内容や担当者の人柄、会社としての姿勢なども比較できるので、より良い工事業者を見つけることができます。

以上の点からも、葺き替え工事を実施する際には、最低3社から見積もりを取って判断することをおすすめします。

施工業者を比較するポイント

複数社から見積もりを取っても、何を比較したら良いのか分からない方が大半だと思います。そのため、まず相見積もりを取ったら、以下の点を重点的に比較してきましょう。

  • 使用する屋根材の種類
  • その屋根材を使用するメリット・デメリット
  • 工事完了後の保証・メンテナンス体制
  • 建設業許可

これらの点で分からない場所があれば、都度、担当者に確認してみてください。

その上で、各項目を比較することで余計なトラブルを未然に防ぎつつ、良質な業者を選定することができます。

スレート屋根を葺き替える際の注意点

スレート屋根を葺き替える際の注意点

屋根塗装やカバー工法とは違って、スレート屋根を葺き替える際には以下の点に注意しましょう。

  • 屋根工事の中で最も費用が高額
  • アスベスト含有の屋根材は追加費用が発生する

では、各注意点を詳しく解説します。

屋根工事の中で最も費用が高額

葺き替え工事というのは、屋根工事の中で最も費用が高額な修理方法になります。その理由は、既存の屋根を全て撤去した上に、産業廃棄物として処理をする必要があるからです。

また、撤去をするため、通常よりも多く工事日数がかかる点にも注意しなければなりません。これらは施工面積が大きくなるにつれて費用や工事日数も増えるため、予算取りや工事を実施する日程には注意してください。

なお、全ての方が利用できる訳ではありませんが、補助金や助成金制度を活用することで費用が抑えられるケースもあります。

以下の記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベスト含有の屋根材は追加費用が発生する

古いスレート屋根の一部には、アスベストが含まれている屋根材が存在します。これらアスベスト含有の屋根材を葺き替える場合、通常工事費とは別にアスベスト撤去費用や産業廃棄物処理費用がかかることに注意してください。

なお、通常の屋根工事よりも高額になってしまうので、費用面で難しい場合はカバー工法なども検討してみるのをおすすめします。

まとめ

今回の記事では、スレート屋根の葺き替えについて詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • スレート屋根の葺き替え目安は築20年から30年
  • 葺き替えなら屋根の寿命が延びる
  • 耐震性も向上する
  • 使える屋根材の種類も増える
  • 業者を探す際には相見積もりを取る
  • 各社を比較して良い業者を見つける
  • 葺き替えは最も高額な屋根工事
  • アスベスト含有の屋根材は別途追加費用が必要になる

適切な時期に葺き替え工事を実施することで、寿命を延ばして耐震性も向上します。

建物を健全な状態で維持するためにも、良心的な工事業者を見つけて、最適な葺き替え工事を実施しましょう。