昨今、屋根の主流になりつつある改修工事「カバー工法」を採用する場合、仕上げの屋根材はガルバリウム鋼板がおすすめです。
この記事では、なぜガルバリウム鋼板が屋根のカバー工法に適しているのか?そのメリットから採用する際の注意点、おすすめメーカーまで徹底解説します。
屋根カバー工法とは?
屋根カバー工法とは、現状の屋根を活かしてその上に新しい屋根を作る方法の改修工事です。
屋根の場合、葺き替え工事や塗装工事などを選択することもできますが、カバー工法にするメリットは以下のとおりです。
- 屋根を撤去する必要がない
- 撤去・処分費がかからない
- 撤去工程がないから工事期間が短い
葺き替え工事の場合、現状の屋根を全て撤去する必要があるので、撤去処分費がかかります。
また、撤去するために工期を確保する必要があるので、その分全体的な工事期間も延びてしまう一面があります。
この点、カバー工法は既存の屋根をそのまま活かして工事をするので、工事期間も短く済ませることができます。
詳しくは以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:屋根カバー工法とは?種類やメリットデメリットを徹底解説!
屋根カバー工法にガルバリウム鋼板がおすすめな理由
さまざまな屋根材が選択できる中で、屋根カバー工法にガルバリウム鋼板がおすすめな理由は以下のとおりです。
- 軽くて耐震性が向上する
- 錆にも強く耐久性に優れている
- 断熱材一体型なら断熱性も向上する
- 断熱材一体型なら遮音性も向上する
- 防汚性に優れている
- 金属なのでひび割れしない
ここからは、ガルバリウム鋼板を採用した場合のメリットについて詳しく解説します。
軽くて耐震性が向上する
ガルバリウム鋼板は軽量な金属でできた屋根材のため、耐震性にも優れている特徴があります。
屋根のカバー工法は現状の屋根をそのまま活かして新しい屋根を作る工事方法なので、屋根が二重になり総重量が増加します。
そのため、重い屋根材でカバー工法を行うと、耐震性に弱くなってしまう可能性があります。
一方、金属屋根材のガルバリウム鋼板なら、軽量なので耐震性にも優れている特徴があるわけです。
錆にも強く耐久性に優れている
一般的な金属屋根は錆に弱く耐久性に乏しいため、仕上げ材として採用するのは向いていません。
しかし、ガルバリウム鋼板は一般的な金属よりも錆に強く耐久性に優れているため、長期間に渡って屋根を保護することができます。
また、基本的にガルバリウム鋼板のメーカーは赤さびや穴あき保証で10年付けているため、信頼性も高いといえるでしょう。
断熱材一体型なら断熱性も向上する
断熱材一体型ガルバリウム鋼板の屋根材なら、断熱性が向上するメリットがあります。
断熱一体型とは、屋根材の裏側にポリウレタンフォームが吹き付けて仕上げられている屋根材のことで、断熱性能が向上する特徴があります。
通常、金属は熱伝導率も高い傾向にありますが、裏側に断熱処理が施されていることで熱の侵入を防げるということです。
断熱材一体型なら遮音性も向上する
断熱材一体型ガルバリウム鋼板は断熱性だけではなく、遮音性が向上するメリットもあります。
ポリウレタンフォームは遮音材としても優れた性能を持っているため、例えば、屋根の雨音などを軽減する効果が見込めます。
トタン屋根のような金属屋根は雨音がうるさいデメリットがありますが、断熱一体型ガルバリウム鋼板なら雨音も軽減して暮らしやすい住空間にすることができます。
防汚性に優れている
ガルバリウム鋼板の大きなメリットとして、防汚性能に優れている点が挙げられます。
特に屋根に使われているガルバリウム鋼板の多くはフッ素樹脂加工がされているため、汚れに強くキレイな状態を長く維持することができます。
一般的な屋根のように水垢などの汚れも付きにくいため、防汚性能に優れた屋根材といえるでしょう。
金属なのでひび割れしない
スレート屋根や瓦屋根の場合、外的な衝撃や地震のような震動の影響でひび割れが発生してしまいます。
このようなひび割れを放置すると屋根材自体が割れてしまう可能性があり、雨漏りなどの二次被害につながる危険性もあります。
一方、ガルバリウム鋼板は金属素材なのでひび割れが起きることがありません。
長期的に見ても屋根材を保護するのに適している素材なので、カバー工法にも適しているということです。
屋根カバー工法にガルバリウム鋼板を採用する際の注意点
屋根カバー工法にガルバリウム鋼板を採用する際には、以下の点に注意しましょう。
- 沿岸地域には向いていない
- 衝撃で凹んでしまうことがある
ここからは、上記に挙げた注意点について詳しく解説します。
沿岸地域には向いていない
ガルバリウム鋼板は耐候性に優れた金属屋根材ではあるものの、沿岸地域のような場所には適していません。
沿岸地域は海風などの影響で塩害の強いエリアのため、平野部に比べて劣化の促進が早い傾向にあります。
なお、塩害の影響はガルバリウム鋼板だけに限ったことではないので、他の屋根材でも同様に劣化が促進します。
そのため、ガルバリウム鋼板が採用できないのではなく、平野部に比べて耐候性・耐久性が短くなってしまう点を理解しておきましょう。
衝撃で凹んでしまうことがある
ひび割れなどには強いガルバリウム鋼板ですが、外的な衝撃の影響で凹んでしまう一面があります。
一般的な屋根に使われているガルバリウム鋼板は、0.35mm程度の厚みしかありません。
そのため、強い衝撃が加わることで簡単に凹んでしまうデメリットがあるということです。
屋根カバー工法に最適なガルバリウム鋼板のメーカー
屋根カバー工法に最適なガルバリウム鋼板のメーカーは以下のとおりです。
- 福泉工業
- ニチハ
- アイジー工業
ここからは、各メーカーの特徴について詳しく解説します。
福泉工業
福泉工業は、屋根材、外壁材などの建築産業資材を製造販売しているメーカーです。
ガルバリウム鋼板の屋根材は以下のような製品がラインナップされています。
- シルキーG2
- CRESPAルーフ(クレスパルーフ)
- FSストーン(エフエスストーン)
戸建てではシルキーG2(旧MFシルキー)が多く採用されている製品で、ポリウレタンフォーム一体型のガルバリウム鋼板屋根材になります。
メーカーの長期保証が付帯しており、本体表面の穴あき25年間、赤さび20年間、塗膜15年間の製品瑕疵に起因する材料品質の不具合に関しては無料修理に対応しています。
メーカーサイト:https://www.fukuizumi.co.jp/
ニチハ
ニチハは、外壁材や屋根材を製造販売する業界トップメーカーのひとつです。
金属屋根は以下のような製品ラインナップがあります。
- 横暖ルーフα プレミアムS
- 横暖ルーフ プレミアムS
- 横暖ルーフα S 窯変
- 横暖ルーフα S
- 横暖ルーフS
- 横暖ルーフS 1820
スタンダードモデルの横暖ルーフSは断熱一体型となっており、優れた耐久性と遮熱性能を有しています。
メーカー保証対応もしており、塗膜15年、赤さび20年、穴あき25年のメーカー保証が付帯します。
メーカーサイト:https://www.nichiha.co.jp/
アイジー工業
アイジー工業は、建築用断熱外壁材及び金属屋根材の研究開発、製造、販売をしているメーカーです。
木造住宅向け金属製屋根材は以下のような製品ラインナップです。
- スーパーガルテクト フッ素
- スーパーガルテクト
- スーパーガルテクト C
建築用金属資材には提供のあるメーカーとして有名で、スーパーガルテクトは多くの戸建てで採用されています。
メーカー保証については、塗膜15年、赤さび20年、穴あき25年間の保証となっています。
メーカーサイト:https://www.igkogyo.co.jp/
まとめ
今回の記事では、屋根カバー工法におけるガルバリウム鋼板のメリットについて詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 軽くて耐震性が向上する
- 錆にも強く耐久性に優れている
- 断熱材一体型なら断熱性も向上する
- 断熱材一体型なら遮音性も向上する
- 防汚性に優れている
- 金属なのでひび割れしない
- 沿岸地域には向いていない
- 衝撃で凹んでしまうことがある
今回紹介した内容を参考にしつつ、カバー工法の屋根材を選定しましょう。