屋根修理を依頼する際には、どれくらいの費用相場なのかを事前に把握しておくことが重要です。

一方で、屋根修理は工事内容によって大きく相場が異なってくるため、各工事の費用相場を比較してみましょう。

そこで本記事では、屋根の本体工事や部分工事など、工事の種類別に屋根修理相場を解説します。

【屋根修理相場】本体工事の概算費用

【屋根修理相場】本体工事の概算費用

屋根修理には大きく本体工事と部分工事がありますが、全体の工事予算が大きいのは屋根本体工事です。

なお、屋根の本体工事には以下の種類があります。

  • 葺き替え工事
  • カバー工法(重ね葺き)
  • 屋根塗装
  • 防水工事

ここからは各工事の種類別の概算費用について解説します。

葺き替え工事の概算費用

葺き替え工事とは、既存屋根の撤去から屋根の新設までを行う工事です。

他の工事とは違って下地から修理することができるので、屋根の寿命を延ばすことができます。また、瓦から金属屋根といった具合に、屋根の種類も変更できるメリットがあります。

一方で、既存屋根の撤去をしなければなりませんから、他の工事よりも工程が多く予算が大きいデメリットもあります。

スレート屋根から金属屋根に葺き替えした場合の修理費用【切り妻80㎡】

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

スレート屋根撤去・処分

20万〜30万円

下地工事(野地板増し張り)

15万〜20万円

防水シート張り

8万〜10万円

役物板金工事

10万〜20万円

金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き

55万〜70万円

棟取付工事

5万〜10万円

諸経費

10万〜15万円

合計

138万〜195万円

瓦屋根から金属屋根に葺き替えた場合の修理費用【切り妻80㎡】

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

瓦屋根撤去・処分

25万〜35万円

下地工事(野地板増し張り)

15万〜20万円

防水シート張り

8万〜10万円

役物板金工事

10万〜20万円

金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き

55万〜70万円

棟取付工事

5万〜10万円

諸経費

10万〜15万円

合計

143万〜200万円

瓦屋根から樹脂繊維セメント瓦に葺き替えた場合の修理費用【切り妻80㎡】

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

瓦屋根撤去・処分

25万〜35万円

下地工事(野地板増し張り)


15万〜20万円

防水シート張り

8万〜10万円

役物板金工事

10万〜20万円

軽量瓦(樹脂繊維セメント)葺き

65万〜80万円

棟取付工事

5万〜10万円

諸経費

10万〜15万円

合計

153万〜210万円

カバー工法の概算費用

カバー工法(重ね葺き)とは、既存の屋根を生かしつつ新しい屋根を重ねて造り込む修理方法です。

葺き替え工事とは違い屋根の撤去工程がないので、産廃費用や撤去費用がなくなりコストを抑えて修理することができます。また、撤去作業がないことで工事日数も若干短くなるメリットがあります。

しかし、下地の修理ができないので腐食の進んでいる屋根には採用できないほか、屋根の総重量が増えてしまうデメリットがあります。

スレート屋根の上に金属屋根を重ね葺きした場合の修理費用【切り妻80㎡】

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

防水シート張り

8万〜10万円

役物板金工事

10万〜20万円

金属屋根(ガルバリウム鋼板)葺き

55万〜70万円

棟取付工事

5万〜10万円

諸経費

10万〜15万円

合計

103万〜145万円

屋根塗装の概算費用

屋根塗装とは、屋根材の保護を目的にした塗り替えメンテナンスになります。

葺き替えやカバー工法は美観性と防水性を向上させるのに対し、屋根塗装では主に美観性を目的としたメンテナンスになります。塗り替えることで屋根材を保護することができるので、屋根材自体の劣化を防ぐことができます。

ただし、あくまで美観性の向上と屋根材の保護が目的なので、防水機能を向上させることはできません。

シリコン樹脂塗装の費用相場【切り妻80㎡】

工事内容

費用(切妻80㎡)

仮設足場費用

15万〜20万円

高圧洗浄工事

2万〜4万円

タスペーサー差し込み

4万〜6万円

屋根塗装(シリコン樹脂塗料)

24万〜30万円

諸経費

10万〜15万円

合計

55万〜75万円

防水工事の概算費用

陸屋根形状の住宅は一般的な屋根ではなく、防水工事が施工されています。

この防水工事にはアスファルト防水やシート防水、ウレタン塗膜防水、FRP防水などさまざまな種類があります。

いずれの防水工事も、建物に雨水が浸入するのを防いで躯体が劣化することを防止させる役割があります。

ウレタン塗膜防水の費用相場【陸屋根50㎡】

工事内容

費用(陸屋根50㎡)

高圧洗浄

1万〜3万円

下地処理

3万〜8万円

コーキング工事

4万〜6万円

通気緩衝工法

35万〜40万円

脱気筒設置

3万〜4万円

改修用ドレン取付

2万〜4万円

諸経費

4万〜5万円

合計

52万〜70万円

FRP防水の費用相場【陸屋根50㎡】

工事内容

費用(陸屋根50㎡)

高圧洗浄

1万〜3万円

下地処理

3万〜8万円

コーキング工事

4万〜6万円

FRP防水

30万〜40万円

改修用ドレン設置

2万〜4万円

諸経費

4万〜5万円

合計

44万〜66万円

シート防水の費用相場【陸屋根50㎡】

工事内容

費用(陸屋根50㎡)

下地処理

3万〜8万円

鋼板設置工事

15万〜20万円

塩ビシート防水(機械固定)

25万〜35万円

脱気筒設置

3万〜4万円

改修用ドレン取付

2万〜4万円

諸経費

4万〜5万円

合計

52万〜76万円

アスファルト防水の費用相場【陸屋根50㎡】

工事内容

費用(陸屋根50㎡)

高圧洗浄

1万〜3万円

下地処理

3万〜8万円

改質アスファルト防水

35万〜40万円

シルバートップ(保護塗料)

5万〜10万円

脱気筒設置

3万〜4万円

改修用ドレン取付

2万〜4万円

諸経費

4万〜5万円

合計

53万〜74万円

【屋根修理相場】部分工事の概算費用

【屋根修理相場】部分工事の概算費用

屋根修理のなかでも簡易的な修理に当たるのが、以下の工事内容です。

  • 瓦の差し替え
  • 棟板金交換
  • 漆喰補修

ここからは簡易的な屋根修理の費用相場について解説します。

瓦の差し替え・部分修理の概算費用

瓦の差し替え工事は、台風や飛来物などで瓦が一部破損してしまった際に行う修理方法です。

瓦屋根全体を修理するのではなく、破損した部位をピンポイントで交換できるので、修理費用を抑えることができます。

しかし、瓦の種類によっては差し替え工事ができないケースもあるため、対応可能かどうかは各業者さんに確認してみましょう。

瓦の差し替え工事

35,000~60,000円
(税込)

棟板金交換の概算費用

棟板金交換とは、屋根の棟部分のみを交換する修理方法です。

屋根に取り付けられている金属の棟は劣化すると下地の木が腐食するので、釘が緩み強風で飛ばされてしまうケースがあります。

このような状態を棟板金交換で修理を行いますが、交換する長さによって費用が大きく変動する特徴があります。

棟板金交換工事

100,000~600,000円
(税込)

漆喰補修(詰め直し)の概算費用

屋根における漆喰補修とは、棟や雨押え部分に詰められている漆喰の詰め直し作業になります。

漆喰は雨水の侵入を防ぐ役割がありますが、経年劣化と共に剥がれ落ちてしまうため詰め直し作業をしなければなりません。

なお、現状の漆喰の上に重ね塗りをする修理方法では安価に抑えられる一方で、漆喰が早期に剥がれる可能性があります。

そのため、既存の漆喰を撤去した後に新しく詰め直す方法で修理することをおすすめします。

漆喰補修(詰め直し)

100,000~350,000円
(税込)

屋根修理の費用相場で重要なポイント

屋根修理の費用相場で重要なポイント

屋根修理の費用相場を比較する上で重要なポイントは以下のとおりです。

  • 仮設足場の有無
  • 選択する屋根材の種類

これらの点に注意した上で、屋根修理に必要な費用相場をチェックしていきましょう。

仮設足場の有無

屋根修理における費用のなかで、大きな割合を占めるのが「仮設足場工事」です。

一般的な戸建ての場合は足場の設置・撤去費用で15~20万円程度するため、足場の有無だけでも大きな金額となります。

なお、一般的な住宅の多くは足場が必要になりますが、3寸勾配以下の屋根なら足場がいらないケースもあります。

たとえば、古い住宅に多く見受けられるトタン屋根が施工されている物件などは、1階部分の下屋根と2階部分の大屋根で分かれていることがあります。

このような形状をした建物でかつ3寸勾配以下の屋根なら、足場を設置せずとも工事が可能になります。

選択する屋根材の種類

屋根の本体工事を行う際には、使用する屋根材の種類によっても費用相場が変動します。

なお、屋根材には以下のような種類があります。

  • 瓦系
  • 金属系
  • スレート系

たとえば、瓦系に分類する屋根材には粘土瓦や軽量な樹脂繊維セメント瓦などがあります。また、金属系にはガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板などの屋根材が一般的に採用されています。

その他にも、スレート系ならコロニアル屋根などが多く普及しており、戸建て住宅では多く見受けられるといえるでしょう。

このように屋根材には非常に多くの種類があるので、どのタイプを採用するかによっても価格に開きが生じてくることを理解しておきましょう。

屋根修理の費用相場を抑える方法

屋根修理の費用相場を抑える方法

屋根修理に必要な費用相場を抑えるためには、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 最低3社から相見積もりを取る
  2. 自然災害なら火災保険を活用する
  3. 助成金や補助金の活用

ここからは各ポイントの詳細を解説します。

①最低3社から相見積もりを取る

屋根修理の見積もりを依頼する際には、最低3社から相見積もりを取るようにしましょう。

相見積もりを取るメリットは以下のとおりです。

  • 法外な値段の業者を見抜ける
  • 各業者で費用を比較できる
  • 工事内容を比較できる

初めて屋根修理を依頼する方にとって、修理費用の相場を見抜くことは非常に困難です。

しかし、相見積もりで各業者を比較することで、法外な値段の業者を見抜けるだけでなく、工事内容や費用を簡単に比較することができます。

そのため、屋根修理を依頼する際には、最低3社から相見積もりを取って比較するようにしましょう。

②自然災害なら火災保険を活用する

屋根を修理する原因が自然災害によるものだった場合、火災保険が利用できる可能性があります。

保険会社にもよりますが、火災保険は風災や雪災などの自然災害を起因とする修理を保証がされているケースが一般的です。

要するに自然災害による破損であれば、屋根修理費用を火災保険でまかなえる可能性があるということです。

しかし、火災保険の内容は保険会社によっても異なるので、利用する場合は保険会社に確認してみましょう。

③助成金や補助金の活用

屋根修理の費用を抑える方法の一つに、国や各自治体が行っている助成金や補助金を活用する方法があります。

たとえば、経済産業省からは省エネリフォームを推進するための補助金があります。断熱性を向上させる屋根工事を実施することで補助金を受けられるので、費用を抑えることができます。

その他にも各自治体で助成金や補助金を実施しているケースがあるため、屋根修理をする際には一度チェックしてみましょう。

まとめ

今回の記事では、屋根修理にかかる費用相場について詳しく解説しました。

なお、本記事の要約は以下のとおりです。

  • 葺き替え工事の費用相場は138万~210万円
  • カバー工法の費用相場は103万~145万円
  • 屋根塗装の費用相場は55万~95万円
  • 防水工事の費用相場は44万~76万円
  • 瓦の差し替え工事の費用相場は3.5万~6万円
  • 棟板金交換の費用相場は10万~60万円
  • 漆喰補修(詰め直し)の費用相場は10万~35万円

屋根は大規模な修理を行うと100万円を超える予算が必要になることもあるので、修理業者は相見積もりを取って比較してみましょう。