屋根工事の中でも人気の高い屋根カバー工法ですが、失敗をしてしまう人も多くなっている傾向にあります。
屋根カバー工法は非常に利点の多い工事方法ではあるものの、採用方法を間違えるとトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。
そこで本記事では、屋根カバー工法で失敗を避けるコツを屋根修理の専門家が徹底解説します。
屋根カバー工法の失敗は雨漏りに直結するので要注意!
屋根カバー工法で失敗した場合、雨漏りに直結するので注意が必要です。
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、2022年度における新規相談件数は35,772件となっており、リフォームに関する相談は12,243件と全体の34.2%としています。
また、寄せられた電話相談のうち、不具合事象としてひび割れが最も多く、それに次ぐ形で雨漏りが多い結果となっています。
この雨漏りは外壁や屋根が該当部位とされているため、屋根における雨漏りトラブルは非常に多いことがうかがえます。
屋根カバー工法で起こる失敗とは?事例から原因を学ぼう!
屋根カバー工法で起こる失敗には、いくつかの種類があります。
どのようなことが要因で失敗が起きてしまうのか?事例を元に確認してみましょう。
下地強度不足による屋根材の剥がれ
屋根カバー工法は人気の高い工法ですが、実は全ての住宅に適用される工事方法ではありません。
しかし、昨今の外装リフォーム業界では、屋根はどの物件でもカバー工法という風潮があるので注意しましょう。
カバー工法は、その名の通り既存の屋根を活かした上で、その上に新しい屋根を造り込む工事方法です。
そのため、下地の強度が十分確保できていることが前提で、下地の腐食が進んでいる場合は採用することができません。
下地の腐食が進み、想定よりも強度が確保できていないにも関わらずカバー工法を採用した住宅では、屋根材の固定強度も不足して剥がれてしまうケースが後を絶ちません。
強風地域で採用したことによる屋根材の剥がれ
下地の強度は問題ない場合でも、強風地域で施工する場合は注意が必要です。
カバー工法では屋根材を留めるのに釘が使用されていますが、通常の釘では強度が腐食して強風で飛ばされてしまう可能性があります。
そのため、強風地域では通常の釘ではなく、ビスを使用して強固に留めることで安全性が向上します。
しかし、強風地域にも関わらず通常の釘で施工する業者もいるため、突風で屋根材が剥がれてしまうようなケースも発生しています。
勾配の緩い屋根に採用して雨漏り発生
世の中にはさまざまな屋根材がありますが、屋根材を使用する要件の一つに「勾配」が挙げられます。
これは屋根カバー工法においても同様で、基本的に横葺きのカバー工法は勾配の緩い屋根には適していません。
勾配の緩い屋根に無理矢理施工した場合、適切な排水処理が行えずに雨漏りにつながることがあります。
これは一般的な知識・経験を有する業者なら簡単に回避できる問題ですが、中には無理矢理施工する業者もいるので注意しましょう。
原因の特定をせず施工した場合の雨漏り
雨漏りの原因を特定せず、屋根カバー工法を実施した場合、施工したのに雨漏りが改善しなかったというトラブルが発生します。
雨漏りというのは、発生している時点で住宅に欠陥が発生していることを意味しています。
しかし、雨水の浸入経路を特定しないまま憶測で工事を行うと、水の浸入経路を改善できないことがあります。
大金を支払ったのにも関わらず、雨漏りが収まらないという失敗が起きてしまうので注意しましょう。
屋根カバー工法で失敗しないためにはどうしたらいい?
屋根カバー工法で失敗しないためには、きちんと消費者側も知識を付けておかなければなりません。
悪質な業者に騙されないためにも、どのようなポイントに注意すべきなのか?ここでは重要なポイントを紹介します。
カバー工法のメリットデメリットを把握する
カバー工法を採用する際には、メリットとデメリットをきちんと把握しておきましょう。
どのような工事方法にも、良い面もあれば悪い面もあります。
重要なポイントは、ご自宅の環境においてカバー工法は採用できるのか?という点ですから、採用可否の判断をするためにもメリットデメリットを確認しましょう。
関連:屋根カバー工法とは?種類やメリットデメリットを徹底解説!
経験豊富な工事業者に依頼する
カバー工法を検討している方は、経験豊富な工事業者に依頼することが最も重要なポイントです。
カバー工法は下地の状況によっても採用できるかどうかが変わってくるため、適切な診断を行える業者でなければなりません。
知識や経験の不足している業者の場合、これらの重要なポイントを正しく判断することができません。
適応でない物件にカバー工法はさいようできませんので、経験豊富な業者に依頼することが重要です。
リフォーム瑕疵保険を利用する
カバー工法で失敗しにくい状況を生み出す方法として、リフォーム瑕疵保険の活用が効果的です。
リフォーム瑕疵保険とは、業者の施工に瑕疵が発覚した場合、第三者機関が修繕工事を補償してくれる保険サービスになります。
これを活用するメリットは、補償を受けるために第三者機関による検査員がしかりと検査をしてくれる点にあります。
発注者は素人のため工事内容を正しく判断できませんが、プロの専門家によって工事検査をすることができるので、手抜き工事や不具合が起きにくくするメリットがあるわけです。
工事品質に自信がない業者が淘汰される仕組みなので、補償が受けられる以上にメリットが多いといえるでしょう。
ただし、リフォーム瑕疵保険は有料のため、無料で受けることができない点はデメリットともいえます
屋根カバー工法で失敗しないために重要な業者選びのコツ
先にも解説した通り、屋根カバー工法で失敗しないためには業者選びが非常に重要です。
そこでここからは、屋根カバー工法で失敗しないために重要な業者選びのコツを紹介します。
関連:良心的な屋根修理業者の探し方とは?トラブル事例から学ぶ正しい選び方
許認可のない業者には依頼しない
業者選定をする上で最も効果的な方法として、許認可のない業者には依頼しないということがおすすめです。
建設業は許認可制度があり、許可を受けるためにはさまざまな要件を審査されます。
例えば、一定年数をクリアした経営経験、許可を受ける業種の技術力(実務経験や資格の有無)、財政的に問題がないか?といった項目を行政が審査します。
要するに、許可のある業者は一定の要件をクリアしており、行政側のお墨付きということになります。
許可のない業者よりも圧倒的に信頼性が高いので、業者選定は許可のある業者のみに絞りましょう。
国家資格を持っているか確認する
許認可と同様に、国家資格を有している業者を選ぶことも重要です。
国家資格には、1級・2級建築士、1級・2級施工管理技士、1級・2級技能士といった資格が存在します。
これらの資格は民間が発行する資格よりも大幅に信頼性が高いので、まずは国家資格を有しているかどうかもチェックしてみましょう。
各種保険の加入状況もチェックする
業者選定をする際には、各種保険の加入状況もチェックしてください。
例えば、先ほど紹介したリフォーム瑕疵保険は、業者側が加入していなければ発注者も利用することはできません。
そのため、まずはリフォーム瑕疵保険に加入しているかどうかを確認してみましょう。
また、屋根は高所作業になりますから、損害賠償保険に加入しているかどうかも確認してください。
工事中に万が一足場が倒壊して周辺に被害が出てしまうといったトラブルが起きた際、損害保険によってカバーすることができるからです。
工事に絶対はありませんから、きちんと損害賠償保険に加入しているリスク管理のできた会社を選ぶことも重要です。
相見積もりで良い業者を見つける
技術力があり良心的な業者を探す際には、相見積もりを行う必要があります。
相見積もりを行うことで、各業者の実行予算を比較できるため、高額な業者は選定基準から外すことができます。
適正な価格帯が相見積もりで分かるので、良心的な業者を探すことができるでしょう。
無駄な費用を支払わないためにも、相見積もりで良い業者を見つけてください。
まとめ
今回の記事では、屋根カバー工法で失敗を避けるコツについて詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 屋根カバー工法の失敗は雨漏りに直結するので要注意
- 下地強度不足によって屋根材が剥がれることがある
- 強風地域で採用したことによって屋根材が剥がれることがある
- 雨漏りの原因特定をせず施工したすると雨漏りが解消しないことがある
- カバー工法のメリットデメリットを把握すること
- 経験豊富な工事業者に依頼する
- リフォーム瑕疵保険を利用する
- 許認可のない業者には依頼しない
- 国家資格を持っているか確認する
- 各種保険の加入状況もチェックする
- 相見積もりで良い業者を見つける
屋根カバー工法で失敗しないためにも、経験豊富で良心的な業者に依頼しましょう。