屋根塗装を検討していると見積書の中で「タスペーサー」という見慣れない単語を目にすることがあるでしょう。タスペーサーは、主にスレート屋根の塗装工事において建物の寿命を守るために欠かせない小さな部材です。

費用を抑えようとしてこの工程を省いてしまうと、後々深刻な雨漏りなどのトラブルを引き起こす原因にもなります。

この記事では、タスペーサーの役割や使い方、使用しなかった場合のリスク、そして必要かどうかの見分け方について詳しく解説します。大切なご自宅を守るための知識としてぜひお役立てください。

タスペーサーとは?

屋根の塗装工事におけるタスペーサーは、一言で表すと屋根材同士の隙間を確保するための道具です。ここでは、なぜその隙間が必要なのかという根本的な理由や、タスペーサーが具体的にどのような働きをしているのかについて順を追って解説します。

そもそも縁切りとは?

縁切りとは、屋根材の重なり合った部分の隙間を塞いでいる塗料を切り離し、水の通り道を確保する作業のことです。屋根塗装を行うと、塗料によって屋根材と屋根材の隙間が密閉されてしまうことがあります。

隙間が完全に塞がってしまうと、屋根の内部に入り込んだ雨水や結露が外へ排出されなくなり、結果的に雨漏りなどのトラブルに発展します。この隙間を人為的に作る工程こそが縁切りであり、屋根を長持ちさせる上で非常に重要な役割を担っています。

タスペーサーの役割

タスペーサーの最大の役割は、縁切り作業を確実かつ効率的に行うことです。ポリカーボネートなどの耐久性に優れた素材で作られた小さな板状の部材であり、屋根材の下に差し込むことで物理的に数ミリの隙間を作り出します。

これにより、塗料を塗った後でも隙間が確保され、屋根材の下に入り込んだ雨水がスムーズに外へ排出されるようになります。屋根の通気性も保たれるため、建物の健康を維持するための縁の下の力持ちと言える存在です。

タスペーサーの使い方

タスペーサーの使い方は非常にシンプルです。屋根材一枚につき、規定の数(一般的には二箇所)を下部の隙間に差し込んでいきます。手で押し込むだけで固定される仕組みになっており、家全体に均等に配置していくことで屋根全体の通気と排水の経路を確保します。

特殊な工具を必要とせず、作業自体も比較的短時間で完了させることが可能です。

タスペーサーを入れるタイミングについて

タスペーサーを挿入する最適なタイミングは、下塗りが完了した後、中塗りを行う前です。まず高圧洗浄で屋根の汚れを落とし、下塗り塗料を塗布して乾燥させます。その後、中塗り塗料を塗る前にタスペーサーを差し込みます。

この段階で挿入しておくことで、その後の仕上げとなる中塗りと上塗りの塗料が隙間に入り込んでも完全に塞がることがなくなり、塗装後も確実な排水経路を維持することができます。

手作業の縁切り(カッター等)と比べた時の違い

従来は、塗装がすべて終わって塗料が乾燥した後に、職人がカッターナイフや専用の皮スキなどの工具を使って、塞がった隙間を一つひとつ切り開いていく手法が主流でした。しかしこの手作業による縁切りは、膨大な時間と労力がかかるだけでなく、せっかく綺麗に仕上がった塗装面を傷つけてしまうリスクがありました。

また、切った塗料の破片がゴミとして屋根の上に残ることも懸念点です。一方、タスペーサーを使用すれば塗装前にあらかじめ隙間を作れるため、工期が大幅に短縮され、塗装面を綺麗に保ったまま確実な縁切りを行うことができます。

タスペーサーを使わない場合に起こりうるトラブル

もしタスペーサーを使用せず、適切な縁切りが行われなかった場合、屋根は本来の機能を発揮できなくなります。塗装によって見た目が綺麗になったとしても、内部では建物全体を脅かす深刻な問題が静かに進行してしまう可能性があります。

毛細管現象による雨漏り

隙間が塗料で塞がれたり、中途半端に狭くなったりしていると、毛細管現象という水が狭い空間を吸い上げられる現象が起きます。これにより、雨が降った際に屋根材の表面を流れ落ちるはずの水が、本来の動きとは逆行して屋根材の裏側へと吸い込まれてしまいます。

その結果、屋根の下地として敷かれている防水シートや木材にまで水が到達し、最終的には室内への雨漏りを引き起こす直接的な原因となります。

内部の結露とカビの発生

水の逃げ道がなくなるということは、同時に空気の通り道も奪われることを意味します。屋根裏は温度変化により湿気が溜まりやすい場所ですが、隙間が塞がっていると湿気を外に逃がすことができません。その結果、屋根材の裏側や下地に結露が発生しやすくなり、常に湿った状態が続くことになります。

このような環境はカビや木材を腐朽させる菌、さらにはシロアリが繁殖する絶好の条件となり、建物の強度を根本から低下させてしまいます。

タスペーサーが必要な屋根と不要な屋根の見分け方

タスペーサーは非常に有用な部材ですが、すべての屋根塗装において必ず使わなければならないというわけではありません。ご自宅の屋根の種類や現在の劣化具合によって、使用の要否は明確に分かれます。

タスペーサーが必須となるスレート屋根

カラーベストやコロニアルと呼ばれる一般的な薄型のスレート屋根を塗装する際には、原則としてタスペーサーが必要です。

過去の塗装時に適切な縁切りがされておらず塗膜で隙間が埋まってしまっている場合も、新たに取り付けて通気と排水の経路を再構築する必要があります。

関連:スレート屋根とは?種類からメリットデメリットまで徹底解説!

タスペーサーが不要になる条件

すでに屋根材の間に数ミリ以上の十分な隙間が確保されており、塗料を塗っても塞がる心配がない場合はタスペーサーを使用する必要はありません。また、屋根材の劣化や反りが激しく、これ以上隙間を広げると割れてしまう恐れがある場合も使用を控えるべきです。

さらに、スレート屋根以外の金属屋根や日本瓦、セメント瓦などは、もともと構造的に十分な隙間が設けられていたり、形状が異なったりするため、タスペーサーによる縁切りは不要となります。

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まとめ

今回の記事では、タスペーサーについて詳しく解説しました。

記事の要約は以下のとおりです。

  • 屋根材同士の隙間(水の通り道)を確保する重要な部材
  • 「縁切り」作業を屋根を傷つけず確実かつ効率的に行う役割
  • 深刻な雨漏りや内部の結露・カビの直接的な原因

屋根塗装は建物の外観を綺麗にするだけでなく、雨風から建物を守るという極めて重要な目的を持っています。タスペーサーを使った縁切り作業は、その防水性と通気性を内側から支え、雨漏りや内部の腐食といった致命的なトラブルを未然に防ぐために欠かせない工程です。

見積もり書を確認する際は、タスペーサーや縁切りの項目が含まれているかを必ずチェックし、正しい知識を持って信頼できる業者に施工を依頼することが、大切なマイホームを長く守り続けるための第一歩となります。