瓦屋根は日本の住宅に古くから使われてきた伝統的な屋根材ですが、「瓦屋根にも塗装は必要なのか?」と疑問を抱く方は少なくありません。
実際、瓦の種類によって塗装が不要な場合もあれば、定期的な塗り替えをしなければ劣化が進んでしまうものもあります。
判断を誤ると、本来不要な工事に費用をかけてしまったり、逆に必要なメンテナンスを怠って雨漏りや屋根全体の劣化を招くこともあります。
本記事では、瓦屋根の種類ごとの塗装の必要性をはじめ、塗装によるメリットや塗装が必要となる症状、さらに施工時の注意点まで詳しく解説します。
これから瓦屋根のメンテナンスを検討している方にとって、費用や工事内容を正しく理解し、安心できる住まいを維持するための判断材料としてぜひお役立てください。
瓦屋根に塗装は必要?種類ごとの違い
瓦屋根と一口にいっても、使われる素材の種類によってメンテナンス方法や塗装の必要性は大きく異なります。
特に「瓦屋根に塗装が必要かどうか」で混乱する方は多く、間違った判断をすると不要な費用をかけてしまったり、逆に本来必要な塗装を怠って劣化を早めてしまうこともあります。
ここでは代表的な3種類の瓦について、それぞれの特徴と塗装の要否を解説します。
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粘土瓦
粘土を焼き固めて作られる伝統的な瓦で、「和瓦」や「いぶし瓦」と呼ばれるタイプもこの粘土瓦に含まれます。
表面が焼き締められているため高い耐久性を誇り、塗装による防水性の向上は不要です。
そのため、粘土瓦は基本的に塗装の必要はありません。
ただし長年使用していると瓦のズレや割れ、漆喰の劣化といった症状が出てくるため、塗装ではなく補修や漆喰の打ち直しなどがメンテナンスの中心になります。
セメント瓦
昭和の時代に多く普及した屋根材で、セメントを型に流し込んで成形した瓦です。
粘土瓦よりも価格が安く普及しましたが、防水性は表面の塗装によって維持されています。
そのため、セメント瓦は定期的な塗装が必須です。
塗膜が劣化すると雨水を吸収して強度が落ち、ひび割れや破損につながるため、10〜15年を目安に塗り替えを行うことが推奨されます。
モニエル瓦
海外から輸入されたコンクリート製の瓦で、日本でも一時期広く使われました。
セメント瓦に似ていますが、表面にスラリー層と呼ばれる特殊な着色層があり、これが劣化すると塗装が剥がれやすいのが特徴です。
そのため、塗装を行う場合は専用の下塗り材を使用しなければなりません。
一般的な塗料で施工すると短期間で剥がれてしまうため、モニエル瓦に詳しい業者を選ぶことが重要です。
瓦屋根を塗装するメリット
瓦屋根を塗装することで得られる効果は多岐にわたります。
ただしメリットは瓦の種類や状態によって異なるため、正しい理解が大切です。
許認可の有無をチェックする
セメント瓦やモニエル瓦は塗装によって防水性を確保しています。
塗膜が劣化すると雨水を吸収して瓦の内部に水が染み込み、凍結による割れや劣化を招きます。
定期的な塗装によって防水性能を回復させることで、屋根材そのものの寿命を延ばすことができます。
契約を急がせない
瓦屋根は家の外観を大きく左右します。
年月が経つと色褪せや汚れが目立ち、古びた印象を与えがちですが、塗装を行うことで新築時のような美しさを取り戻せます。
屋根の色を変えることで外観のイメージチェンジも可能で、住まい全体の印象を一新できます。
施工後の保証・メンテナンス
塗装によるメンテナンスを怠ると、瓦が劣化して割れや雨漏りが発生し、大規模な修繕や葺き替えが必要になる場合があります。
定期的に塗装を行えば、劣化の進行を抑え、結果的に補修費用を抑えることにつながります。
瓦屋根の塗装が必要な症状とは?
屋根の状態を見極めることは一般の方には難しいですが、以下のような症状が見られる場合は塗装や補修のタイミングが近づいているサインです。
色褪せ・表面のザラつき
日光や雨風にさらされ続けることで、瓦の表面は次第に色が褪せ、手で触ると粉っぽさやザラつきを感じるようになります。
これは塗膜が劣化して防水性が低下している証拠です。
コケやカビの発生
瓦の表面にコケやカビが広がるのは、塗膜の防水性能が低下して水分を吸収しているサインです。
特に北側や日当たりの悪い面に発生しやすく、放置すると瓦の劣化を早めます。
割れや欠けが目立つ
瓦そのものが割れていたり欠けている場合、塗装だけでは対応できないため、部分的な交換や補修が必要です。
小さな割れでも雨水の浸入を招くため、早めの対応が重要です。
雨漏りや下地の腐食の兆候
天井にシミが出るなど雨漏りの兆候がある場合、塗装ではなく補修や葺き替えが必要です。
下地材が腐食していると、表面を塗っても根本的な解決にはなりません。
瓦屋根を塗装する際の注意点
瓦屋根の塗装には専門的な知識と技術が求められます。
誤った方法で施工すると、かえって劣化を早めてしまうこともあるため注意が必要です。
瓦の種類に合った専用塗料・下塗り材を使うこと
特にモニエル瓦は専用の下塗り材を使用しないと塗膜がすぐに剥がれてしまいます。
またセメント瓦も専用のシーラーを使用することで塗料の密着性を高める必要があります。
瓦の種類を正確に見極めたうえで、適切な材料を使うことが大切です。
経験のある屋根業者に依頼すること
瓦屋根の塗装は一般的なスレート屋根や金属屋根と比べて難易度が高く、経験の浅い業者では施工不良を起こしやすいのが実情です。
瓦屋根の施工実績が豊富な業者を選び、見積もりの内容や過去の施工事例を確認して依頼することが重要です。
雨漏りがある場合は塗装より補修・葺き替えが優先
雨漏りが発生している場合は、塗装で一時的に見た目を整えても根本的な解決にはなりません。
瓦の補修や下地の改修、場合によっては葺き替え工事が必要になります。
雨漏りを放置すると構造材まで腐食が進むため、早急な対応が求められます。
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まとめ
今回の記事では、瓦屋根の塗装について詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 瓦屋根の塗装は瓦の種類によって必要性が異なる
- 粘土瓦は不要だがセメント瓦やモニエル瓦は必須
- 塗装によって防水性・耐久性が向上し、美観を保てる
- 色褪せ、コケやカビ、割れ、雨漏りの兆候が塗装や補修の目安になる。
- 施工時には瓦の種類に合った専用塗料・下塗り材を使用すること
- 雨漏りがある場合は塗装ではなく補修や葺き替えを優先すべき
瓦屋根の塗装が必要かどうかは、瓦の種類によって大きく異なります。
粘土瓦は塗装不要ですが、セメント瓦やモニエル瓦は塗装が必須です。
塗装を行うことで防水性や耐久性を高め、美観を維持し、補修費用の削減にもつながります。
ただし、瓦の種類や状態を正確に見極め、専用塗料を用いた適切な施工が不可欠です。
経験豊富な業者に依頼することで、住まいを長く安心して守ることができます。