屋根は普段から気にして見る部位でないため、気付かぬうちに劣化が進んでいるケースが少なくありません。
しかし、いざ修理をしようとしても「どの屋根修理業者を選べば良いのかわからない……」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、良心的な屋根修理業者の探し方をプロの目線から解説します。
実際に起きたトラブル事例などをもとに、屋根修理業者を選定する重要性なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
屋根修理の業者で多いトラブルを事例から学ぼう!
屋根修理業者を選び際には、実際に起きたトラブル事例を参考にするのがおすすめです。
なお、屋根修理で多いトラブル事例は以下の通りです。
- 契約時のトラブル事例
- 点検商法のトラブル事例
そこでここからは、屋根修理のトラブル実例を個別に紹介します。
契約時のトラブル実例
独立行政法人国民生活センターでは、屋根工事の契約トラブルとして以下のような実例を公開しています。
「近所で工事をしているのであいさつに来た」と訪ねてきた男性から、「お宅の屋根の鬼瓦が傾いているのが気になっていた。隣の家に落ちると大変だ。今なら残っている漆くいを使って千円で直してあげる」と言われ、千円ですぐ直してもらえるなら、と修理をお願いした。作業終了後「瓦が浮いている。このままだと雨漏りするので屋根全体を工事したほうがいい」と言われ、雨漏りしたら大変だと慌ててしまい、約20万円の工事の契約をした。しかし、冷静になってみると契約を急ぎすぎたような気がする。クーリング・オフしたい。(60歳代 男性)
独立行政法人国民生活センター
この事例では、1000円の工事からいつの間にか20万円の工事内容へと変わっています。
このように突然訪問してきた業者から不安をあおられるため、話がどんどん飛躍してしまうケースは少なくありません。
本件からもわかるとおり、屋根修理業者を選定する際にはすぐに契約するのではなく、複数の業者を比較することが大切です。
点検商法のトラブル実例
独立行政法人国民生活センターでは、屋根修理関連の点検商法として以下のようなトラブル事例を掲載しています。
「近くで工事をしている」と言って作業員が訪ねてきた。翌日、別の作業員も連れてきて「点検します」と言い、屋根に上った。瓦が割れた写真を見せられ、「このままではもっとひどい状態になる」と言われて屋根工事の契約をしてしまった。
独立行政法人国民生活センター
こちらの事例では、屋根修理の点検を実施した後に不安をあおられ契約したとのこと。
リフォーム関連のトラブルでは、不安をあおって契約を急がせるケースが多い傾向にあります。
このような悪質業者を避けるためにも、点検後すぐに契約するのではなく、複数業者の見解を聞いてから判断することが重要です。
良心的な屋根修理業者に依頼する重要性と共通点
トラブル事例からもわかるとおり、屋根工事を依頼する際には誠実で良心的な業者に依頼することが重要です。
なお、良心的な業者に共通していることは以下の3点です。
- 技術力に優れている
- 良心的な価格設定
- 工事後も安心のサポート体制
そこでここからは、個別の内容について詳しく解説します。
①技術力に優れている
誠実な業者に共通していることは、屋根修理の技術力や知識に優れているという点です。
なぜなら施工品質の高い屋根修理業者にとって、施主様から頂く「口コミ」というのは非常に重要度が高いからです。
また、品質に自信のある施工業者は施主様からのご紹介を頂くケースが多く、一般的な営業力や広告経費をかけない傾向にあります。
以上のことからも、誠実な屋根修理業者の多くは技術力や知識に優れているというわけです。
②良心的な価格設定
誠実な屋根修理業者は、工事品質が高いことはもちろんのこと、工事料金も良心的な価格設定をしています。
一方で悪徳業者は売上を重要視しているため、一般的な工事価格よりも高く、なかには標準的な工事価格の2〜3倍の費用を請求するケースもあります。
前項でも解説したとおり、良心的な屋根修理業者は口コミを非常に重く受け止めているため、暴利で契約することはありません。
そのため、誠実な屋根修理業者の多くは適正な価格設定をしているというわけです。
③工事後も安心のサポート体制
工事品質に自信のある屋根修理業者というのは、工事後にも安心のサポート体制を提供していることが多い傾向にあります。
一方で、不誠実な業者や悪徳な業者は工事品質に責任を取らないため、引き渡し後の保証およびメンテナンスはしません。
自社の施工に責任を持つ業者であれば、引き渡し後の保証はもちろんのこと、メンテナンス体制も構築されています。
3STEPで学ぶ!正しい屋根修理業者の探し方!
良心的で誠実な屋根修理業者を探す際には、いくつかのポイントを抑えておかなければなりません。
そこでここからは、初めて屋根修理をする方向けに「3STEPで学ぶ屋根修理業者の探し方」を紹介します。
なお、具体的なステップは以下の通りです。
- STEP01 最初に屋根修理業者の種類を学ぼう!
- STEP02 屋根修理業者の探し方
- STEP03 どこに頼む?良心的な屋根修理業者の選び方
それでは各ステップの内容について解説をします。
STEP01 最初に屋根修理業者の種類を学ぼう!
ひとくちに「屋根修理業者」といっても、さまざまな分野の業者が存在します。
そのため、屋根修理業者を選ぶ際には「どのようなタイプの業者さんなのか?」を事前に把握しておくことが重要です。
そこでここからは、最初に知っておきたい屋根修理業者の種類について詳しく解説します。
総合リフォーム店
総合リフォーム店とは、内装や外装にエクステリアなどリフォーム工事全般に対応している業者です。
基本的に営業と現場管理、下請け施工業者が分離しているため、大型のリフォーム工事に向いているメリットがあります。
また、保証やメンテナンス体制も確立している会社が多いのもメリットといえるでしょう。
一方、屋根修理のような個別案件で見た場合、コストが若干割高になる傾向があります。
そのため、屋根修理以外にもリフォームを依頼したいという方におすすめです。
地域の工務店
各地域で活動している工務店は、新築工事やリフォーム工事を請け負っているため、屋根修理にも対応しています。
地場の長く続く工務店の場合は各工事専門の職人を抱えているため、施工品質も安定している傾向にあります。
ただし、保証やメンテナンス体制が確立されていない会社も多いため、会社選びが難しい一面もあります。
そのため、基本的には知り合いが地域の工務店という方におすすめです。
外装リフォーム専門店
外装リフォーム店とは、外壁や屋根、防水といった外装を専門にしているリフォーム店です。
総合リフォーム店とは違って外装に特化しているため、施工品質とコストパフォーマンスの高さがメリットいえます。
また、工事完了後の保証やメンテナンス体制も確立しているため、総合リフォーム店と同様に信頼性が高い特徴があります。
ただし、外装専門のリフォーム業者なので、内装リフォームなどを依頼したいケースには向いていません。
そのため、外回りのリフォームだけを依頼したいという方におすすめです。
建築板金・瓦屋根業者
建築板金業者と瓦屋根業者というのは、屋根を専門にしている施工会社です。
屋根修理に特化している会社なので、工事品質とコストパフォーマンスに優れている特徴があります。
ただし、リフォーム会社や工務店の下請けとして活動しているケースが大半のため、保証やメンテナンス体制が弱い一面もあります。
そのため、工務店と同様に知り合いに建築板金業者または瓦屋根業者がいるという方におすすめです。
STEP02 屋根修理業者の探し方
屋根修理業者の種類が理解できたら、次に業者を実際に探す方法について見てみましょう。
なお、具体的には以下のような方法で施工業者を探せます。
- 家を建てた工務店・建設会社・ハウスメーカー・不動産
- 知人・友人からの紹介
- チラシや新聞
- インターネット
では、個別の中身について詳しく解説します。
①家を建てた工務店・建設会社・ハウスメーカー・不動産
屋根修理業者を探す方法のひとつ目は、家を建てた工務店や建設会社、ハウスメーカーに不動産に相談するというやり方です。
この方法の利点は家を建てた業者に修理を依頼できるので、建物の構造や状況も伝わりやすく、コミュニケーションが取りやすい点です。
ただし、会社の規模や体制次第では担当者が変わってしまい、円滑なコミュニケーションが難しいこともあります。
②知人・友人からの紹介
屋根修理業者を探す方法のふたつ目は、知人や友人から屋根修理業者を紹介してもらう方法です。
知人や友人から紹介を受けられるため、ご自身で業者を探す必要がなく、一定の信頼のもと工事を行うことができます。
一方で、何かしらのトラブルが発生した場合には注意が必要です。知人や友人から紹介を受けている建前上、業者サイドに問題点を指摘できないことも多い傾向にあります。
③チラシや新聞
ご家庭で新聞を取っている場合、新聞広告に掲載されている業者さんや、チラシを配布している業者さんに問い合わせるのもひとつの方法です。
チラシや新聞に掲載している業者は費用なども表示しているため、事前に大まかな予算も周知できる点がメリットになります。
ただし、昨今は新聞を取るユーザーが激減していることから、チラシや新聞に広告予算をかけることが少なくなっている傾向にあります。
④インターネット
近年、最も多い業者探しの方法が、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用したインターネットになります。
基本的に自社で活動している業者はインターネット集客に力を入れているため、ホームページを作成していることが大半です。
また、ホームページには会社概要や工事費用、これまでの施工事例なども掲載されていることが多いため、申し込みをする前に施工業者のことを確認できます。
そのため、特別な事情がない限りはインターネットを利用する方法をおすすめします。
STEP03 どこに頼む?良心的な屋根修理業者の選び方
良心的な屋根修理業者を選ぶには、以下のような点に注意してみましょう。
- 最低3社から相見積もりを取る
- 提案内容を比較する
- 保証やメンテナンス体制も比較する
これらの点に注目して比較することで、より良心的な業者さんを見つけ出すことが可能です。
そこでここからは、各内容について詳しく解説します。
①最低3社から相見積もりを取ろう!
良心的な屋根修理業者を見つけるためには、最低3社に相見積もりを依頼しましょう。
相見積もりをすることによるメリットは以下の通りです。
- 暴利の業者を判断できる
- 各業者の姿勢を比較できる
- 担当者の人間性を判断できる
1社にしか見積もりを依頼していない場合、提示されている価格が相場に合っているのか判断できません。
しかし、複数社に相見積もりを依頼することで価格を比較できるので、暴利の業者を判断できるメリットがあります。
それ以外にも、現地調査での対応や担当者の人間性なども判断できるため、屋根修理を依頼する際には最低3社は相見積もりを取りましょう。
②提案内容を比較しよう!
良い業者さんに依頼するためには、各社の提案内容を比較してみましょう。
なお、提案された内容については、以下の点に注目して確認するのがおすすめです。
- そもそもどのような修理方法なのか?
- その修理方法を採用するメリットはなにか?
- 反対にデメリットになり得る部分は何なのか?
各業者さんは屋根修理のプロなので、修理方法について熟知しています。一方で、依頼する側の方は提案される内容がわかりませんから、詳細をきちんと確認しましょう。
なお、屋根材の種類については以下のページでも解説しているので参考にしてみてください。
どんな工事にもメリットがあればデメリットも存在しますので、丁寧に説明してくれる業者さんを選ぶのがポイントです。
③施工完了後の保証・メンテナンス体制を比較しよう!
業者選定をする際には、屋根修理が終わった後の保証やメンテナンス体制はどうなっているのかも確認しておきましょう。
屋根修理で工事不良が発生した場合、雨漏りなど二次的な被害につながる可能性もあります。
施工品質保証が発行されないケースやメンテナンス体制がない場合、このようなトラブルも解決しにくい傾向にあります。
そのため、工事を依頼する業者さんには、必ず施工完了後の保証内容とメンテナンス体制について確認しておきましょう。
超重要!屋根修理業者を探す際に注意すべき3つのポイント
屋根修理業者を探す際には、注意しておかなければならないポイントが3つあります。
- 飛び込み営業(訪問販売)は利用しない
- 契約を急がせる業者は避ける
- 値引きの額が大きい業者には注意する
この3つのポイントに注意することで、良心的でない業者を避けることができます。
では、具体的な中身について詳しく解説します。
飛び込み営業(訪問販売)は利用しない
業者選定をする際に注意すべきポイントは、飛び込み営業(訪問販売)の業者さんを避けるということ。
もちろん、飛び込み営業を行っているすべての業者が悪い訳ではありません。しかし、リフォーム関連の飛び込み営業はトラブルが多いのも事実です。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は、2019年が8,007件、2020年は8,784件、2021年は9,734と年々増加傾向です。
これは業界内でも周知されていることなので、基本的に大半の良心的な業者は飛び込み営業という方法は取りません。
良い業者さんを見つける確率を上げるためにも、トラブルの多い業務形態である訪問販売業者は避けるべきと言えます。
契約を急がせる業者は避ける
屋根修理の業者を選ぶ際に重要なポイントは、工事の契約を急がせてくる業者を避けるということです。
トラブル事例の項目でも解説した通り、悪質な業者のなかには必要のない工事まで契約させるケースもあるので、きちんと検討する期間がなくてはなりません。
しかし、そのような業者は検討期間を作らないようにするため、契約を急がせる傾向にあります。
以上のことからも、契約を急がせる業者は基本的に避けるのが賢明な判断と言えるでしょう。
値引きの額が大きい業者には注意しよう!
相見積もり等で業者さんを選定する際、値引き額の大きい業者さんには注意しましょう。
屋根修理で提出した見積金額に対して値引きの額が大きいということは、以下のようなことが考えられるからです。
- 始めから値引きを考慮した見積金額になっている
- 無理な金額で受注した場合にしわ寄せが出てくる
基本的に適正価格で見積金額を提示している場合、必要原価に対して粗利設定をしているので大幅な値引きというのは実現不可能です。
しかし、大幅な値引きができるということは、始めから値引きを考慮した見積金額になっているということが考えられます。
もしくは無理に受注を使用としている可能性があるので、資材費用や施工人件費、工事後のメンテナンス費など、どこかにひずみが生じる可能性があります。
これら2点が想定できるので、基本的に大幅な値引きを行っている業者さんは避けましょう。
まとめ
今回の記事では、良心的な屋根修理業者の探し方を詳しく解説してきました。
なお、本記事の要約は以下の通りです。
- 良心的な屋根修理業者には共通点がある
- 屋根修理業者にはいくつかの種類がある
- 業者の探し方でおすすめな方法はインターネット
- 業者選定では相見積もりは必須
- 提案内容とメンテナンス体制も比較する
- 避けるべき屋根修理業者がある
初めて屋根修理業者を探す方にとって、難しく感じてしまうこともあるかと思います。
しかし、屋根は家を構成する部位のなかでも非常に重要な場所なので、良心的で技術力のある業者を選定することをおすすめします。