ひとくちに屋根材といっても金属系や瓦系、アスファルトシングルなど非常に種類が多いです。
その中でも、今回紹介する「スレート屋根」は非常に人気が高く、新築・リフォーム問わずさまざまな場所で採用されています。
そこで本記事では、人気の高い屋根材「スレート屋根」について詳しく解説します。種類や採用した場合のメリットデメリットまでわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
スレート屋根とは?
スレート屋根とは、厚さが5mm程度の薄い板状に加工された屋根材です。
スレート屋根にはいくつかの種類がありますが、一般的な戸建て住宅で採用されているスレート屋根はセメントを主成分に加工されています。
デザインやカラーバリエーションも非常に豊富なので、戸建て住宅では広く普及している屋根材の一つです。
スレート屋根は大きく2種類!それぞれの違いを確認しよう!
住宅で使われているスレート屋根には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 粘板岩を加工した「天然スレート」
- 主成分がセメントの「化粧スレート」
工場や倉庫で利用されるタイプは「波型スレート」になるので、補足説明として後ほど解説します。
それでは、各スレートの特徴を確認していきましょう。
粘板岩を加工した「天然スレート」
天然スレートとは、その名の通り天然の粘板岩を板状に加工して作られている屋根材です。
天然の石(無機質)でできた屋根材なので、塗装などのメンテナンスは必要ない点は天然スレートの大きな特徴といえます。
ただし、重量が非常に重く建物に対する負担が増えるので、耐震性の観点からもカバー工法(重ね葺き)などには適していません。
現場での加工もしにくい材料ですから、施工料金も他の屋根材と比較して若干高い傾向にあります。
要するに天然スレートというのは、あまり一般的ではなく高価な屋根材と言うことになります。
主成分がセメントの「化粧スレート」
化粧スレートとは、セメントを主原料として厚さ5mm程度に加圧成形した軽量の屋根材です。
コロニアルやカラーベスト、新生瓦や人工スレートと呼ばれるケースもありますが、これらはすべて化粧スレートのことを指します。
天然スレートとは違って軽量で加工しやすいため、工事料金も比較的安い傾向にあります。
屋根材表面の塗装は紫外線による劣化が進行するため、塗り替え工事など定期的なメンテナンスは必要です。
【補足解説】工場・倉庫の屋根は「波型スレート」
スレートと呼ばれる屋根材の中には、波型スレートと呼ばれるタイプがあります。
これは主に工場や屋根で利用されており、セメントを主成分に波型に加工されて作られている屋根材です。
大波、中波、小波といった具合に波の形状・大きさが分かれていますが、屋根には大波タイプが採用されている傾向にあります。
なお波型スレートの表面はザラつき汚れやすいため、塗り替えなどのメンテナンスが必要です。
スレート屋根のメリットは3つ!【価格・デザイン・施工性】
スレート屋根には、以下のようなメリットがあります。
- 施工価格が比較的安い
- デザインが豊富で選びやすい
- 施工性がよく対応業者が多い
それでは個別のメリットについて詳しく解説します。
①施工価格が比較的安い
スレート屋根は普及している屋根材なので、工事価格が比較的安い傾向にあります。
屋根の種類 | 価格相場 |
瓦 | 10,000〜20,000円/㎡ |
金属(ガルバリウム鋼板) | 6,000〜9,000円/㎡ |
スレート(化粧スレート) | 6,000〜8,000円/㎡ |
アスファルトシングル | 5,000〜7,000円/㎡ |
このように他の屋根材と比較しても、価格帯は低く採用しやすい特徴があります。
ただし、天然スレートは高級タイプの屋根材に分類されるので、価格帯は化粧スレートほど安くないので注意しましょう。
②デザインが豊富で選びやすい
スレート屋根は、デザインやカラーバリエーションが非常に豊富な屋根材です。
たとえば化粧スレートを販売しているメーカーのkmew(ケイミュー)からは、以下のような製品ラインナップがあります。
- プレミアムグラッサ
- 遮熱グラッサ
- グラッサ
- シャッフルカラー
- クァッド
各シリーズでさまざまなデザインが採用されており、お気に入りのデザインを選ぶことができます。
③施工性がよく対応業者が多い
スレート屋根は普及している屋根材で多くの物件で採用されているため、施工可能な業者さんの数も非常に多いです。
軽量で取り回しもしやすい上に現場での加工もしやすいため、屋根工事業者であれば基本的にどこでも施工できる屋根材といえます。
新築・リフォーム問わず採用されている屋根材なので、スレート屋根の施工は対応業者は非常に多いです。
スレート屋根を採用した場合のデメリットについて
スレート屋根を採用する際には、以下のデメリットも把握しておきましょう。
- スレート屋根自体が割れやすい
- 化粧スレートは寿命が短く劣化しやすい
それでは個別のデメリットについて詳しく解説します。
スレート屋根自体が割れやすい
スレート屋根は厚さが5mm程度の屋根材なので、衝撃に弱く割れやすい特徴があります。
特に化粧スレートは経年劣化で塗装が剥がれてしまうと基板に水が浸透するので、ボロボロになってしまうケースもあります。
屋根材の下には防水シートがあるので直接雨漏りにつながることはありませんが、強風で飛ばされることはあるので注意が必要です。
化粧スレートは寿命が短く劣化しやすい
化粧スレートはメンテナンスを怠ると寿命が短くなるので、劣化の速度が早まる可能性があります。
セメントを主成分に作られている化粧スレートは、表面に保護膜として塗装が施されています。
この塗装部分は日々の紫外線や雨風によって経年劣化するため、8年程度で塗り替えのメンテナンスが必要になります。
しかし、この塗り替えメンテナンスを怠ると、表面の塗装が剥がれるため基板がむき出しになります。
ここから雨水が浸入すると屋根材はふやけてボロボロになるので、メンテナンスが重要になるということです。
スレート屋根のメンテナンスで注意していきたいポイント
スレート屋根をメンテナンスする際には、以下の点に留意しましょう。
- 化粧スレートの塗り替えは「縁切り」が必要
- アスベスト含有のスレート屋根は撤去・処分費が高額
それでは各注意点について詳しく解説します。
化粧スレートの塗り替えは「縁切り」が必要
化粧スレートの塗り替えメンテナンスをする際には、「縁切り」と呼ばれる作業が必要になります。
縁切りとは、塗装した際に屋根材の重なり部分に溜まる塗料を切って水のはけ口を作る作業のことです。
この作業を怠ると雨水が正常に抜けていかないため、雨漏りにつながる可能性があります。
近年では、塗装前に最初から隙間を作れる「タスペーサー」という部材を使うのが一般的ですが、部材を使わない場合は縁切り作業が必要です。
アスベスト含有のスレート屋根は撤去・処分費が高額
古い住宅に使われているスレート屋根には、現在の法規制で禁止されているアスベストが含まれているケースがあります。
2006年頃に全面的に法律で禁止されたアスベストですが、それ以前に建築された住宅には使われている可能性があります。
アスベストが含まれた屋根材の場合は、葺き替えをする際に撤去や処分費が高額になってしまうため注意しましょう。
ただし、コストを抑えたい場合はカバー工法(重ね葺き工法)を採用すれば、高額な撤去や処分費を抑えることができます。
まとめ
今回の記事では、多くの住宅に採用されている屋根材「スレート屋根」について詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- スレート屋根は5mm程度の薄い板状に加工された屋根材
- 粘板岩を加工した屋根材を天然スレートという
- セメントが主成分の屋根材が化粧スレート
- 工場や倉庫に使われているのは波型スレート
- スレート屋根は対応業者が多く価格が安い
- デザインやカラーバリエーションが豊富
- スレート屋根は割れやすい
- 化粧スレートはメンテナンスが必要
- 塗り替えをする際には「縁切り」を行うこと
- アスベストが含まれている場合はカバー工法がおすすめ
戸建て住宅で多く使われている化粧スレートは、デザイン性やコストを抑えたい方におすすめの屋根材です。
ただし、経年劣化による塗り替えメンテナンスが必要なので、屋根材を選ぶ際にはトータルコストも比較して検討してみましょう。