ご自宅のスレート屋根、築年数が経つにつれて「色あせが目立つ」「ひび割れがある」「コケや藻が生えている」といった劣化サインが現れていませんか? スレート屋根は、耐用年数が一般的に20年~30年程度と言われており、定期的なメンテナンスやリフォームが不可欠です。
劣化を放置してしまうと、雨漏りが発生して建物の構造躯体を傷めたり、断熱性能が低下して光熱費が余計にかかったりする可能性があります。特に古いスレート屋根の場合、人体に有害なアスベストを含有している可能性もあり、破損による飛散リスクも無視できません。
こうした問題を解決するためには、屋根の状態に応じたリフォーム(葺き替え、カバー工法、塗装など)が必要となりますが、その費用は決して安くありません。屋根の面積や工事内容によっては、100万円以上の費用がかかるケースも珍しくなく、家計への負担は大きなものとなります。
「リフォームはしたいけれど、費用がネックで…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで活用したいのが、国や地方自治体が設けている「補助金制度」です。
近年、国は省エネルギー化の推進や住宅ストックの質の向上、耐震化、空き家対策などを目的に、住宅リフォームに対する様々な支援策を実施しています。スレート屋根のリフォームも、工事内容によってはこれらの補助金の対象となる可能性があるのです。
この記事では、2025年4月現在の最新情報に基づき、スレート屋根リフォームで利用できる可能性のある補助金制度の種類、対象となる工事の条件、申請方法、そして利用する上での注意点などを、網羅的かつ分かりやすく解説していきます。
補助金制度を賢く活用すれば、リフォーム費用の負担を大幅に軽減できるかもしれません。ぜひ最後までお読みいただき、ご自宅のスレート屋根リフォーム計画にお役立てください。
※ご注意ください※ 補助金制度の内容(対象事業、補助額、申請期間、要件など)は、年度や予算状況によって変更されたり、予告なく終了したりする場合があります。この記事は2025年4月時点の情報を基に作成していますが、実際に補助金の利用を検討される際は、必ず国や自治体の公式ウェブサイト等で最新の情報をご確認いただくか、専門家にご相談ください。
スレート屋根リフォームで補助金の対象となる工事とは?
まず、「なぜ屋根のリフォームに税金から補助金が出るの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。まずは、補助金制度の目的と、どのようなスレート屋根リフォームが対象になりやすいのかを見ていきましょう。
なぜリフォームに補助金が出るのか?
国や地方自治体が住宅リフォームに対して補助金を交付する背景には、以下のような社会的な目的や政策目標があります。
地球温暖化対策・省エネルギー化の推進
住宅はエネルギー消費量の大きな割合を占めています。屋根の断熱性能を高めたり、太陽光の熱を反射する遮熱塗装を行ったりすることで、冷暖房効率が向上し、エネルギー消費量とCO2排出量の削減につながります。国は「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、住宅の省エネ化を強力に推進しており、その一環として省エネリフォームへの補助を行っています。
住宅ストックの質の向上・長寿命化
日本には多くの既存住宅(ストック)が存在します。これらの住宅を適切にメンテナンス・リフォームし、長く快適に住み続けられるようにすることは、廃棄物の削減や新築偏重からの脱却につながり、持続可能な社会の実現に貢献します。劣化対策や性能向上リフォームへの支援は、住宅ストック全体の質を高めることを目的としています。
国民の安全・安心の確保
日本は地震が多い国です。特に古い基準で建てられた住宅では、耐震性が不足している場合があります。屋根を軽量な素材に葺き替えることは、建物の重心を下げ、地震時の揺れを軽減する効果があり、耐震性向上に寄与します。
また、過去に使用されていたスレート屋根材の中には、アスベスト(石綿)を含有しているものがあります。アスベストは飛散すると健康被害を引き起こすリスクがあるため、その除去や封じ込め対策が求められています。アスベスト除去工事や、アスベスト含有建材を含むリフォームへの支援が行われることがあります。
地域経済の活性化
リフォーム工事は、地域の建設業者や関連産業にとって重要な仕事となります。補助金を交付することでリフォーム需要を喚起し、地域経済の活性化につなげる狙いもあります。自治体によっては、地元の業者を利用することや、地域産材を使用することを補助金の要件としている場合もあります。
特定の政策目標の達成
例えば、「子育て支援」の一環として、子育て世帯が行う省エネリフォームやバリアフリーリフォームを支援したり、「空き家対策」として、空き家を改修して活用する場合に補助金を出したりするなど、特定の政策課題に対応するために補助金制度が設けられることもあります。
補助金の対象となりやすい工事内容
では、具体的にどのようなスレート屋根リフォームが補助金の対象になりやすいのでしょうか? 主な工事内容別に見ていきましょう。
葺き替え工事
瓦屋根など、重い屋根材から軽量な金属屋根(ガルバリウム鋼板など)や軽いスレート屋根材に葺き替えることで、建物の耐震性が向上します。特に、旧耐震基準(1981年5月以前)で建てられた住宅の場合、耐震改修に関する補助金制度の対象となる可能性があります。自治体によっては、屋根の軽量化工事単体でも補助対象としている場合があります。
また、断熱材が一体となった屋根材を使用したり、屋根下地(野地板)の上に断熱材を敷き込んだりして葺き替えを行うことで、屋根からの熱の出入りを抑え、省エネ効果を高めます。国の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や「子育てエコホーム支援事業(後継事業含む)」、自治体の省エネリフォーム補助金などで対象となる可能性があります。
なお、アスベスト含有スレート屋根を撤去する場合、その除去費用に対して補助金が出る場合があります。これは国の制度よりも、自治体が独自に設けているケースが多いです。「アスベスト除去費補助金」などの名称で探してみましょう。葺き替え工事全体の費用ではなく、あくまで「除去・処分」に関わる費用が対象となるのが一般的です。
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カバー工法(重ね葺き)
カバー工法で用いられる金属屋根材の中には、断熱材が裏打ちされているものや、太陽光を反射しやすい遮熱性能を持つものが多くあります。こうした高機能な屋根材を使用する場合、省エネリフォームとして補助金の対象となる可能性があります。
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」や自治体の省エネリフォーム補助金などが考えられます。既存の屋根材を撤去しないため、アスベスト除去関連の補助金は基本的に対象外となります。
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塗装工事
太陽光に含まれる赤外線を効率よく反射し、屋根表面や室内への熱の侵入を抑える効果を持つ「遮熱塗料」を使用する場合、省エネリフォームとして補助金の対象となる可能性があります。特に夏の冷房負荷を軽減する効果が期待されます。自治体の省エネリフォーム補助金(遮熱塗装に対する補助)などが該当する可能性があります。
ただし、遮熱塗料の効果を補助対象とするかどうかは制度によって異なり、一定の性能基準(日射反射率など)を満たす必要がある場合が多いです。また、単なる美観目的の塗装は補助対象外となるのが一般的です。
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補助金制度のポイント
ほとんどの補助金制度では、工事の契約前・着工前に申請を行い、交付決定を受ける必要があります。すでに契約・着工済みの工事は対象外となるケースがほとんどですので、注意が必要です。「リフォームを決めたら、まず補助金を探して申請する」という意識を持ちましょう。
また、補助金には、対象となる住宅(築年数、所在地など)、対象者(所得制限など)、対象工事の内容、使用する材料の性能、工事を行う業者など、様々な要件が定められています。募集要項や手引きをよく読み、ご自身の計画が要件を満たしているかを確認することが重要です。不明な点は、制度の問い合わせ窓口やリフォーム業者に確認しましょう。
なお、補助金には必ず申請期間が設けられており、多くの場合、予算の上限に達し次第、期間内であっても受付が終了してしまいます。人気の補助金は早期に締め切られることもありますので、情報収集と準備は早めに行うことが肝心です。
申請には、見積書、図面、性能証明書、住民票、納税証明書、施工前写真など、多くの書類が必要となります。書類によっては取得に時間がかかるものもありますので、余裕を持って準備を進めましょう。
加えて、補助金の申請手続きは煩雑な場合もあり、リフォーム業者の協力が不可欠です。補助金申請の実績が豊富で、手続きのサポートをしてくれる業者を選ぶと、スムーズに進めやすくなります。業者選びの際には、補助金利用の意向を伝え、対応可能かを確認しましょう。
【2025年最新情報】スレート屋根リフォームで利用できる補助金の種類
それでは、具体的にどのような補助金制度が利用できる可能性があるのか、国の制度と地方自治体の制度に分けて見ていきましょう。
※繰り返しになりますが、以下の情報は2025年4月時点のものです。制度の名称、内容、予算、期間等は変更される可能性があります。最新の情報は必ず各制度の公式ウェブサイト等でご確認ください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、既存住宅の長寿命化や省エネ化、三世代同居対応、子育て世帯向け改修などに資する性能向上リフォームや、適切なメンテナンスに対して、国が費用の一部を支援する制度です。国土交通省が所管しています。
子育てエコホーム支援事業
エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることを目的とした制度です(国土交通省所管)。
次世代省エネ建材の実証支援事業
高性能な断熱材や窓、調湿建材、遮熱塗料など、省エネルギー性能の向上に資する次世代省エネ建材の効果を実証するために、その導入を支援する制度です。経済産業省(資源エネルギー庁)が所管し、執行団体(例:一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII))が公募等を行っています。
地方自治体(都道府県・市区町村)の補助金制度
国の制度と並んで、あるいは国の制度と連携して、各地方自治体(都道府県や市区町村)も独自の住宅リフォーム支援制度を設けている場合があります。
スレート屋根で使える補助金申請の基本的な流れと必要書類
補助金を利用したいと思っても、「手続きが難しそう…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、一般的な補助金申請の流れと、必要になることが多い書類について解説します。
※制度によって詳細な流れや必要書類は異なります。必ず申請を検討している制度の募集要項や手引きをご確認ください。
【STEP 1】情報収集・相談・計画
利用できそうな補助金制度(国、自治体)を探します。公式ウェブサイトや窓口で、対象要件、補助額、申請期間、必要書類などを確認します。リフォーム業者に相談し、補助金を利用したい旨を伝えます。補助金申請の実績やサポート体制があるかを確認しましょう。
補助金の要件に合わせて、具体的なリフォーム計画(工事内容、使用材料など)を立て、見積もりを取得します。
【STEP 2】補助金の申請【重要:契約・着工前!】
申請に必要な書類を準備します。不備がないか、募集要項と照らし合わせてしっかり確認します。申請書類一式を、定められた受付期間内に、指定された方法(郵送、窓口持参、オンライン申請など)で提出します。
繰り返しになりますが、原則として工事請負契約の前、かつ工事着工前に申請が必要です。 フライングしないように十分注意してください。
【STEP 3】交付決定通知の受領
提出された申請書類に基づき、審査が行われます。審査には数週間~数ヶ月かかる場合があります。審査の結果、補助金の交付が適切と認められると、「交付決定通知書」が送られてきます。
これで正式に補助金を受けられる権利が得られます。(不採択の場合は、その旨の通知があります。)
【STEP 4】工事請負契約・工事着工
交付決定通知書を受け取った後に、リフォーム業者と正式な工事請負契約を結びます。契約に基づき、工事を開始します。
工事中は、後で提出が必要となる「施工中の写真」などを忘れずに撮影しておきましょう。
【STEP 5】工事完了・代金の支払い
計画通りにリフォーム工事が完了します。工事完了後、リフォーム業者に工事代金を支払います。(補助金は後払いのため、一時的に全額を立て替える必要があります。)
【STEP 6】実績報告書の提出
工事完了後、定められた期間内に「実績報告書(完了報告書)」を作成し、必要書類(領収書、施工後の写真など)を添付して提出します。提出期限が厳密に定められていることが多いので、遅れないように注意が必要です。
【STEP 7】補助金額の確定・補助金の受領
提出された実績報告書の内容が審査され、補助金の額が最終的に確定します。確定後、指定した口座に補助金が振り込まれます。振り込みまでには、実績報告書の提出からさらに1~2ヶ月程度かかることがあります
屋根修理するならヤネットへ!
屋根修理業者をお探しの方は、屋根工事専門店のヤネットまでご相談ください。
無料診断をお受け頂くと、屋根修理のプロによって入念な現地調査を行うため、既存の劣化状況を正しく判断することができます。
また、劣化状況に応じて最適な修理方法をご提案致しますので、屋根修理業者の選定にお困りの方は、お気軽にヤネットまでご相談ください。
まとめ
今回の記事では、スレート屋根における補助金のポイントについて詳しく解説しました。
記事の要約は以下のとおりです。
- 省エネ、長寿命化、耐震化などが目的の補助金が多い
- 葺き替え、カバー、塗装などが該当する
- 各制度の内容をきちんと確認すること
補助金を活用することで、屋根リフォーム費用を節約することができます。
ご自身の環境で該当する制度がないかチェックした上で、要件を満たせる場合は積極的に活用していきましょう。